表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校中退、工場労働、夢の終わりと挿話  作者: わたる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/19

第12話 眩暈、春、地元を離れる(1)

 高校中退した直後に父親に連れられてハローワークに行きその場で床屋の面接が決まり就職はしたが結局3日で辞めてしまった。

 それからしばらくの間、家に引き籠ってネット掲示板に入り浸るか本を読むか音楽を聴いていた。

 半年ほど前に借りてCD-Rに焼いていたキングクリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」をなんとなく聴き直したところ21世紀のスキッツォイドマンの間奏で大いに興奮した。

 その時は理解できずとも後になって良さが分かる音楽、というものがあると知った。

 反対に何年経っても良さが理解できない音楽がある事も。


 寒さが強まりつつある12月のある晩、暗い部屋でパソコンに向かっていた。

 足元には電気ストーブがあった。

 いきなり眩暈のようなものが私を襲った。

 手足が冷たくなり(少なくともそう感じた)座っていられず電気ストーブに両手と頭をのせてじっとしていた。

 そのままでいると回復し身体を起こした。

 今の眩暈と寒気は一体?と首を捻っていまたパソコンに向き直りその日はそれで終わったが、しばらくすると自分に違和感を抱くようになった。

 文章を読むのが遅くなったり、どこか自分の体の中から自分という人間を操作しているようなおかしな感覚がつきまとうようになった。

 当時の私はこれを「知性が一段下がった」と表現していた。

 学校というストレスを離れた事で自分という人間を維持・向上させていた箍のようなものから解放されて、結果能力が低下した。

 あの眩暈は低下した瞬間の身体の合図だったのではないかと。

 今思うと奇妙な理屈だが脳は負荷を与えるとその負荷に抵抗すべく働く可塑性の高い器官である。

 引きこもれば負荷は少なくなりその負荷の少ない状況に慣れてしまう。

 とすればあながち外れでもないし実際に文章を読む速度は年々下がっているのが現状だし、あの眩暈は本当に…とたまに思うのだった。


 年が明けて春が近づくと母が働いてみないかと言った。

 知り合いの親戚が東海地方で工場を経営していてそこに就職してみないかと。

 私はさすがにこの引きこもりの生活も気まずくなってきてたので半分嫌々ながらも承諾した。

 休んだ事で心身が健康を取り戻していたのもあった。

 まずは面接をしようという事になり、春のある日、私は新幹線に乗って東海地方へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ