第10話 高校入学、不登校、中退あるいは不滅の黄金(9)
古本屋の駐輪場に自転車を置かせてもらい、先生の車で家へと送ってもらった。
途中でファミレスでごちそうになってしまった。
「何か食べた?」
「いえ」
「じゃあよろうか」と。
食べた料理は覚えていない。
私を探してあちこち見て回ったと言われた。
申し訳なかった。
恥ずかしかった。
家に帰ると父親がいて、叱られた。
私は「もう放っておいてくれ」と言った。
これからどうするんだ、と聞かれて答えられなかった。
何も答えられなかった。
色んな人に迷惑をかけてしまったのは確かで、それは心から申し訳なかった。
先生は私と父親の言い合いの近くで正座をして凄く困った顔をしていた。
本当に申し訳ない。
別の日に改めて話し合いの場が設けられた。
私はそこで学校を辞めます、と伝えた。
留年はしないと。
先生と学年主任は、残念です、というような事を言った。
最後にまだ机の中に残っているという私物を取りに向かった。
誰もいない教室、私の机の上には何故かトイレットペーパーのロールが置いてあった。
誰が何のために置いたのか分からない。
なんだったんだろうか?
私と父親は校舎を出て駐車場に向かった。
11月の午後だった。
先生がやってきて私に「頑張ってね」と言った。
私は「はい」と答えた。
車に乗った。
走り出した車の中から振り返ると、先生が学校の敷地から道路に出て、こちらを見つめているのが見えた。
私は先生を見た。
車が曲がり角に差し掛かった。
校舎も先生も視界から消えた。
先生とはもうそれっきり会う事はなかった。
13年後、私は再び学校にやってきた。




