プロローグ
季節は春。青い空に映える桃色。けれども、それよりも光を放っているのは金色の髪と碧い瞳。こちらを見下ろす瞳は熱を持っているが、その感情が何なのかはわからない。
「俺と恋人になって欲しい」
そう告げるのは、数日前に出会ったばかりのクラスメイトの男子。バランス良く配置されたパーツを歪めることなく、覆いかぶさって見下ろしてくる。
そんな彼に、表情を変えることなく告げた。
「……浮気してくれるなら、いいよ」
「本当か!? 浮気してくれるなら――――ん? 浮気しないのならば、ではなく?」
「うん。私と付き合ったら、浮気してくれる?」
その言葉に、碧が見開かれる。次いで何を言われたのかわからないといった表情をする男を、やはり変わらない表情で見上げた。
しばし沈黙した彼は、大きく息を吸い込んでから叫んだ。
「ぜ――――ったいに、浮気はしないぞっ! 俺は!」
先程まで王子然とした表情だったのに、今は目を釣り上げて額に青筋を浮かべている。
「そもそも付き合うというのはな――――」
ガミガミと男女交際について説教してくる男は、まるで頭の固いおじさんのようだ。
なかなか終わらない説教に、首を傾げる。
(なんで、そんな顔するんだろ。浮気くんなのに)
そう思う女――大木奈子はまだ知らない。
彼――浮気くんとの出会いによって自分が劇的に変わることを。
そして彼が激重男子であることも、まだ知らないのだ。
――――これは愛を知らない猫系女子の奈子が、激重男子の浮気くんとの出会いで愛を知る物語。




