表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴霞の王  作者: 瀬戸榛名
第3章|王は、ここに在る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/52

第46話 空の椅子

 今日は朝から冷える。セフィリアは城の廊下を足早に歩きながら、襟を寄せる。


「ああレオン、エリを見ていないか? 今朝から連絡がつかないんだ」


セフィリアは、手を上げてすれ違ったレオンに声をかけた。


「いえ、私も今朝からお姿が見えず、ちょうどお声をかけに行こうと思っていたところです」


「そうか……では私も行こう」


 二人は連れ立ってエレニアの執務室に向かう。しかしそこにエレニアの姿はなかった。


 書類が積まれた机の前に、華奢な赤い椅子が、少し引き出されたまま、がらんと空いている。窓から入る光がその空席をぼんやりと照らしていた。


「一体、どこに行かれたんでしょう」


 レオンは首を傾げた。隣のセフィリアは、さーっと顔を青ざめる。

「まさか!どうやって──」


「セフィリア様……?」


「ロゼルトだ、この魔力、彼以外にあり得ない」


「どういう、意味ですか?」


 セフィリアは床に膝をつくと、残された転移痕を右手でなぞる。

 術式の破片、魔力の断層。まるで《《内側から開かれた》》かのように、粉々に砕かれている。


「エリは、あいつに連れ去られたんだ。間違いない。あの男、ご丁寧に私に向けて痕跡まで残していきやがった」


 エレニアには、厳重に防御の術をかけていた。ロゼルトの言った『取引』という言葉が頭に浮かぶ。


 あの時から、エレニアが狙われるであろうことは予測していた。だからこそ、彼女はエレニアに自身の最高の防御術式を施したのだ。

 その防御が破られたことにさえ気づかなかったことに、セフィリアは愕然とする。


(私が全力でかけたあの術が、こんなにもあっさりと破られる? いくらロゼルトといえど、そんなことが──)


「そんな……でもだって、エレニア様は……」


 レオンは動揺する。それを見てセフィリアは、反対に落ち着きを取り戻す。

 彼の狙いはセフィリア。交渉のためにはエレニアはまだ生かしておく必要がある。


「……おそらくエリはまだ無事だろう。君はゼドに状況を伝えてくれるか? 私はリュグルスに向かうからしばらく城を頼む、とも」


「しょ、承知しました」


「落ち着け、大丈夫だ。君の上司は私が必ず連れ帰る」


 今にも倒れそうなレオンを宥める。彼は足を絡ませながらゼドの元へ向かった。


(あの男、今度はエリを──)


 ロゼルトはエレニアの命と引き換えに、自分の力を求めているのか? ああ、守るなどとと言いながら、なんという体たらく。ああエリ、エレニア、どうか──


 彼女はすぐに部屋を出るとリュグルスへと転移する。誘われた、彼の城へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ