シオリ
栞なくて、てきとうなものを挟んじゃう。
爪に火を灯して暗闇を歩けって
神さまの言いつけを守れずに
くすり指まで焼け落ちてしまったら 右足は止まる
片側3車線のイバラの道なんか虹色の歩道橋で
横切ってみせてたあの頃は怖いもの知らずだったね
人生でいちばんいい瞬間に栞をはさんどいて
飽きてしまうまでコンテニューできたのなら
そのあとのチャプターはぜんぶスキップするのさ
流れ落ちてくテロップを
きみとの枕からぼぉっと見ていたい
瓜に朱がさすから包丁を入れたんだ
神さまの言いつけを破っても
熟れた果実をほおばってしまったら 鼓動は早まる
角度浅い斜線と蛇腹の笛だけが夕焼けの地平線で
きらめいてやまないあの頃を今じゃ恐れているくらい
人生でいちばんいいシーンには付箋をはりつけてよ
擦り切れちゃうまでリプレイを楽しむけど
そのあとの結末はおよそメリーバッドエンド
零れ堕ちてくシロップは
ぼくの瞼からつうっと糸を引く