61話 『閑話』.69
◇
決勝戦前1
「王。失礼します」
「キアヌ。どうしたんだい?」
キアヌとは、サフィロスの秘書である。
「ルーベル様からお酒が。届きました」
「そうか、そこに置いて帰って良いぞ」
「そこに置いて帰っていいですか⋯⋯人使いが荒いですね。私はいま、王が残した仕事でいっぱいいっぱいなのに、王は楽しくしてらっしゃって。生まれがいいだけで実力がある訳でもないのに。全く、いいご身分ですね!」
キアヌはそう言い残し部屋を去る。
「怖いねぇ。だめだよ、サフィロス。女の子を怒らせたら」
「少し待っててくれ、謝ってくる」
◇◆
決勝戦前2
「入るぞ」
俺はそう言いながらサフィロスがいる部屋に入る。
サフィロスはグラスに入った⋯⋯ワインか?何かを飲んでる。まぁんなことどうでもいいが。
「ディルクルムじゃないか。どうしたんだい?」
「決勝戦の次の俺とのバトルが終わった後、みんなの前で艮を倒すことを宣言しようと思う」
「なるほど。つまり、ジョブを解放する準備をしてくれと?」
「あぁそう言うことだ」
「勝てるのかい?」
「勝てるさ。あぁ、それと。解放の許可を出してくれ」
「わかった。時間は?」
「10秒。それだけあれば十分だ」
◇◆◇
決勝戦後1
「結局1対1に持っていくのが最適ってことですか?」
「いや、今回の場合はそうならなかっただけで、早々に片方潰して2対1の状況を作ったり。片方が援護しながら戦ったり。1対1×2の状況でも、組見合わせを考えたりだな。まぁ言いたいのは、『常に相手より優位になれ』だ」
俺のその問いに対し、藹然さんがそう答える。そして、エフメリアさんが続ける。
「有名な話でね。勝兵は先ず勝ちて、而る後に戦いを求む。敗兵は先ず戦いて、而る後に勝ちを求む。って言葉があるんだ。端的に言えば戦いで重要なのは、戦う前に勝利の条件をそろえて戦うことって意味なんだけど。けど、突発的な場合、どちらも戦ってる中で勝つ術を探さないといけない。その際に重要なのは、勝つ条件をその場で揃えること。力で勝つんじゃない、技術で勝つんでもない。戦術で勝つんだ。その場その場で対応を変え、常に相手より有利に立つ。それが、勝敗のわからない勝負で勝つ方法だよ」
「それって、相手が自分より力も技術も上な場合どうするんです?」
「諦める」
「諦めるんですか?」
エフメリアさんの回答に、ノーシュがそう反応する。
「だってその話、最終的には攻撃すら通らない格上の話になるだろう?ノーシュはクロアリが人間に勝てると思うかい?武器のない人間がライオンやゾウに勝てると思うかい?」
「勝てるz」
「翠には聞いてない。とにかく、勝つ能力がない場合は勝てないよ。その場合、戦わないが正解だね。どうしても戦わないといけない事が起きるなら、それに勝てる力を持った人を仲間にする事だよ」
藹然さんが言い切る前に突っ込んだな。
「ディグニくんがあれを使いたくないなら尚更だね」
「そうですか」
◇◆◇◆
決勝戦後2
「あぁもう少しだったのにぃ」
「餓亀の方が結構オールラウンダー味があったな」
決勝戦が終わった後、控え室でアルカードとキルが喋っている。
「そういや、なんでキルは王兎を倒せなかったんだ?」
「逃げられたってのが一つの理由だが、それ以上にあの装備が厄介だったな」
「械獣ってやつなぁ。俺も撃ったんだけど、あれ修復しやがったよ」
「え、修復?」
「そう。壊れたところが自動修復してさ」
「何か仕組みがあんのか?」
「どうせMP関連だろうさ」




