47話 『エフメリアvsリベルラ・上』.55
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「ただいま」
「お帰りなさい」
どこかへ行っていた藹然さんが戻ってくる。
現在、開会式が終わり、エフメリアさんの試合が始まろうとしている。ノーシュは怜悧さんと話しているようなので、俺は藹然さんと話すことにする。
「今回の試合って、エフメリアさんの相手って誰なんですか?」
「相手はリベルラっていうやつで、昔からエフに挑んでは負けてを繰り返してたやつだ」
俺の質問に藹然さんが答える。
「じゃあ今回の試合もエフメリアさんの圧勝か」
「いや、それはわからない」
「え?」
藹然さんは真剣な顔で答える。
「今までエフが勝てていたのはエフの使う武器がブリシュが作ったあいつ専用の特殊な刀だからだ。しかし、今回の試合で使われる刀はあちらが用意したもの。エフの優位性がない」
「それでも、エフメリアさんなら勝てるんじゃないですか?あの人は短剣使いを加味しても攻撃速度最速の人ですよ?常人が避けれるものじゃない」
「常人じゃなかったらだろ?しかも、何やら新しいもんも覚えたみたいだし」
「お待たせしました!両者の準備が整いましたので、これより、親善試合を始めます」
司会がそう言うのでアリーナの方を見てみれば、すでにエフメリアさんとリベルラさんが立っている。
「司会は私、アーノルドと」
「この俺、ヴィクトリア・ヴィス・フォルティスでお送りしまーす」
「あ、あいつ司会やるんだ」
「知り合いなんですか?」
「あぁ。規格外の中でも規格外のいかれ野郎だ。NOWが特殊で、自分よりHPが低いやつはどんな相手でも斬ることができる最強オブ最強の能力持ちだ。装備に当たったら装備の方に判定が吸われるから斬れない。が、あいつはエフに次いで速いし、器用なやつだから容易に攻撃を当てることができる。さらに、HP最大を保持してるから決闘であいつに勝てる奴はいない」
チートやないか。え?何そのチート。いやまぁ俺なら差し違えることできるか?実力がわからんからなんとも言えねぇが。
「では、開戦です!」
司会がそう言うと同時に二人が駆け出す。
二人が持つ武器はどちらも形は同じ、違いがあるとすれば装飾くらいだ。
「先に仕掛けたのは、エフメリアだ」
先に攻撃を仕掛けたのはエフメリア。亜音速で振るう刀は、風を切り音を立てながらリベルラに迫る。
「弧避流柄」
なお、その斬撃をリベルラは全て受け流す。
「流す流す流す!リベルラ選手、高速の剣技に対応しています」
コサナエ?どこかで聞いたことあるな。どこだったか?
「なるほど。君が言ってたのはそれか。確かに厄介だね」
エフメリアはそう言いながらも刀を振り続けている。
「發張」
リベルラはエフメリアの質問には答えずに攻撃を入れる。その攻撃により、エフメリアの動きが止まる。
やっぱり。
「「蜻蛉流剣術?!」」
俺とノーシュの声が重なる。
「え、ノーシュ知ってんのか?」
「いや、こっちのセリフだよ。てか、知ってるってことは俺ら同じ大学?」
「そうなるな。いや、今そんなことどうでもいい」
そう、ノーシュと同じ大学かどうかなんてクソほどどうでもいい。
「問題なのはあの人が使ってる剣術。読み取ったのか?まだ調べてる途中だったろ。情報が抜けた?いや、それはない。そんなことが起きるほど甘いセキュリティーじゃない。つまりだ、研究チームとは別口で写かなにかを入手し、その上で解読した。読み取れないわけじゃない。読み取れないわけじゃないがそれを本当に使えるとは⋯⋯解読されたものを数行だけ読んだことはあるが、技名と簡単なやり方しか書いてなかった。それを実行してる。どういうことだ?」
「あの、ディグニくん。声に出したら僕たちにも聞こえるよ」
「いや、まぁ隠してるわけじゃないから別に大丈夫ですよ」
怜悧さんに対してノーシュが答える。
まぁバレても大丈夫だ。
「知られてもいいなら聞こうか。蜻蛉流剣術ってなんだい?」
「最近、うちの大学が見つけた資料にあった剣術で、わかってることは蜻蛉を元に技名がつけられてるってことだけで、動きはまだわかってなかったんです」
「なるほどな。まぁそこに関しては考えても無駄だ。とりあえず、試合の行方を見よう」
◇◇◇◇
なるほど、蜻蛉流剣術か。
エフメリア・グラウベン。彼もまた蜻蛉流剣術の存在を知っている人間の一人である。
攻撃方法どうこうはまだ解明できてないって教授から聞いたけど、まさか自分で見つけるとはね。流石と言ったところか。わかったことを発表してないあたり、本気で勝ちにきてるね。だけど、
「廃れた剣術の再現程度に負けるほど、僕の剣術は甘くない」
エフメリアがリベルラの方向へ深く踏み込み、刀を振るう。
エフメリアがDPS最高を保持しているのは、秒間10回以上も刀を振ることができるからである。そんなエフメリアから放たれる、一発だけに重点を置いたプレイヤー最速の居合は、リベルラの胴を捉える。
「弧避流柄」
しかし、その居合も防がれてしまう。
「おっとぉ、またもや防いだリベルラ選手!私には何が起こったのかは正確にはわかりませんが、私でもわかるのは、リベルラ選手が目で追えない速さの一閃に反応したと言うことだぁ!」
「あの剣術はなんなのだろうか。俺たち召喚者は刀系統のスキルをほとんど使えないはずだから、持ち前の技術か?」
「持ち前の技術?」
「スキルなしってことだな」
「エフメリア選手はスキル無しで有名ですが、リベルラ選手もまたスキルなしで対応していると言うことだろうか」
「そう言うことになる」
「なんと、まさかの両選手スキル無しでやり合っているぅ。まさに超次元だぁ」
クソうるさい司会のおかげで冷静さを取り戻せた。
最速の一閃を躱されたエフメリアは、リベルラから距離を取り、息を大きくする。司会が喋る数秒の間、どちらも深追いをせず、攻撃の手を止める。
おかしいな。ここから見れば隙だらけなのに、間合に入った瞬間に隙がほとんどなくなる。出た隙を狙ってもそこを狙って刀を振るった時にはすでに防御姿勢を取られている。
うまく誘導されているが、他のところを狙えば確実に防がれるし、なんならカウンターを入れられる可能性がある。
刀ごと体を斬ることが出来れば文句はないんだが、この刀じゃそれはできない。そこに関してはあちらも同じだろう。
じゃあどうす⋯⋯ん?
リベルラはエフメリアの思考中に刀を地面につけ、砂埃をあげる。エフメリアが気づいた時にはもうリベルラは砂煙の中であり、しばらくして舞い上がったエフメリアが砂煙に包まれる。
弧避流柄→コサナエ(トンボ)
發張→ハッチョウトンボ
この世界でスキル名はタイミングを確実にするための補助装置でしかないから唱える意味もそこまで無いし、そもそもスキル名でも無い技の名前を一々言うという奇行をするリベルラ




