21話『人の金で食う飯が一番美味い』.29
「なぁ」
来てからかれこれ二十分は立っただろうか、とりあえずは特に会話をすることがなく食べていたが、ノーシュが口を開く。
「お前食い過ぎじゃね?別に食べ放題にしてるから良いんだけどさ」
「仕方ないだろ、どれも美味いんだから」
実際、約3キロはすでに食べている。腹に溜まる感覚がないから無限に食べられてしまうな、これ。俺は量関係なく食べ始めてから30分くらい経つとだんだん食べるのがしんどくなってくるのだがそれもないし、腹が膨れる感ん角がないからより一層食うことができる。自分の胃袋にびっくりだ。しかし、若干しんどくなってきたので食べるスピードが遅くなってきている。
「それにしてもだよ。食欲ゲージ⋯⋯というか、胃袋どうなってるんだよ」
「こうなってる」
「いやわからん」
それは俺にもわからん。
「あっそういえばよ」
「うん」
「なんでタワーシールド頼んだんだ?しかも2個も。タワーシールドじゃ身動き取れないだろ。お前の戦闘スタイルにも合ってないし。完全防御空間があるし、そもそも仲間を守るためじゃなく自分を守るためとヘイト管理用の盾なんだから別にいらないだろ」
そう。実は、二つ頼んだのである、それぞれサイズが一般的なタワーシールドとゴブリンウォーリアが使うような大きさのタワーシールドである。
「たすぃかにすぉなんらけるぉだけど、ぴぃきゅぇーにねりゃわるぇたつぉくぃように⋯⋯」
「飲み込んでから喋れよ、何言ってるかわかんないから」
「確かにそうなんだけど、PKに狙われた時ようにさ。攻撃要員が1人だと勘違いさせとけば優位に立てるかもだし、一時的な避難にも使えるしな」
「なるほどね」
でかい方は視界妨害の目的が多い。回復したりする時間が欲しいのと、タワーシールドを背にすれば余程の膂力がない限り正面からの攻撃しかできなくさせれるからプラスで良い。前からの攻撃は自分で防ぐことができるからな。
「注文の品お持ちしました。オークカツ、キングサーモン丼、コカトリスの唐揚げです」
「コカトリスの唐揚げ?!」
「すいません。追加でスネーキングの蒲焼、一角獣の刺身、金角竜・ブロンドラゴンの卵と巨身牛・ゴウズのミルクのチーズオムレツを」
「あっ俺もコカトリスの唐揚げを」
「ご注文を繰り返します。スネーキングの蒲焼、一角獣の刺身、竜牛チーオム、コカトリスの唐揚げですね」
略すなよ。
「はい」
「承りました」
「コカトリスの唐揚げって前までなかったのに。これが食うしかない」
「美味かったぞ」
「ていうかお前、文句言ってた割にオーク肉大量に食ってるな」
「美味いならなんでも良いだろ。流石にどれだけ美味くても人が握ったおにぎりは食えないが、元のモンスターがアレだけど他もたいして変わらないし普通に食える」
「まぁそうか」
さて、会話が終わったので食べるとしますか。
「いただきます」
俺は目の前にある狐色の衣に覆われたオークカツの一つを掴む。端で掴んだだけで、淡くピンクの色をした白い肉から大量の肉汁が出てくる。そして、掴んだ一切れを口まで運び、半分頬張る。サクッと衣を破る音がした後、まるで豆腐を食べているかのようにオーク肉が分かれる。口の中でとろけるオーク肉に対し濃厚な味が俺の口いっぱいに広がる。
最高と最高のハーモニー。抜群の食べやすさでありながら、しっかりとした味がオーク肉が口内から消えた後も残り続ける。
「美味すぎんだろ」
俺は思わずそんな言葉を漏らす。
◆◇◆◇
あのあとお腹がいっぱいになるまで飯を食べまくった俺たちは、店を出て近くの宿屋へ向かうことにする。
「いやぁやっぱり、人の金で食う飯が一番美味いな」
飯紹介
・オークカツ
文字通りオーク肉を使ったカツ。過酷な環境で育ったオークであればあるほどに、そのおいしさは爆増する。
・キングサーモン丼
ビットサーモンの最上級個体、キングサーモンをふんだんに使った丼。群れの王であり、その大きさは2メートルに達する個体も存在する。そのみは口の中でとろけるような味がしながら歯応えもあり、旨味が凝縮している。キングとついているが雌個体であるため、丼にはイクラも乗っている。
・ギガサーモン丼
ビットサーモンの上級個体、ギガサーモンをふんだんに使った丼。メガサーモン、ギガサーモン、キングサーモンと続く出世魚のビットサーモンの中間個体であるため、しばしば祝い事で使われることがある。
・一角獣の刺身
馬刺し。
・コカトリスの唐揚げ
なんかよくわからないが、養殖に成功したため、安全に食えるようになったコカトリスの唐揚げ。たまに
野生個体の唐揚げが数量限定でウッれるらしい。それを口にしたものはあまりの旨さに気絶することもあるとかないとか。
・スネーキングの蒲焼
蛇の兵士の王。味は蒲焼とあまり変わらないらしい。
・金角竜・ブロンドラゴンの卵と巨身牛・ゴウズのミルクのチーズオムレツ
どちらともニュマラスオンリーモンスターであり、有効的なモンスターである。ブロンドラゴンの卵は無精卵なので、ブロンドラゴン自身使いようがなくこちらにくれ、ゴウズはゴウズと付いているが、プレイヤーが付けた名前なので牛頭とは何も関係がなく、普通にでかい牛である。しかし、ミルクの質は最上級であり、とても濃厚でクリーミーな味がするのだとか。
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次話から番外編(ディグニ兄)をします。予定通り行けば本編に戻るのは三週間後?です。
その間に書き溜める。




