表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Numerous Divided Life ニュマラスディビデッドライフ  作者: 靄然 翠
〈第1章 水面に映りし月の影〉
21/60

11話『アイムアジャッジマン』.19

 【目眩】によりぼやけた目でよく見ると、()()()()()()()()()()()()()()()()であった。俺はそれから落ちた()()を手に取り、食べようとするもふと我に帰り、その実⋯⋯ザクロ(・・・)を投げ捨てる。


「どうした、食わないのか?こんなに美味しいのに」


 リヒトがザクロを食べながらそういう。


「いろんな力持ってんだな、お前」


「なんのことだ?」


 リヒトはニヤけながらそういう。


「ザクロはギリシャ神話で大地と豊穣の女神デメテルの娘、ペルセポネをハーデスが誘拐した際に食べさせた実。食べたら何かデメリットがあるんだろ?」


「なぜわかった?」


「お前の今までの力から、冥府等の死後の世界が関係していることは見てとれる。そして、ザクロは現実世界の果物でこちらにはないから、なんらかの能力であることもわかる。そこにプラス、六粒のザクロ。ペルセポネが食べたのもちょうど六粒。故に気づいた」


「そうか、たまたま六粒落ちたんだが、運がいいな。そのザクロは食べると、食べた分だけステータスの最大値を削る。HPを含めて(・・・・・・)な。そして、それ以上回復できなくなる。例えば、HPが100のやつがそのザクロの100粒ほど食べると、上限は100と表示されるが90より上が削れて回復できなくなる」


「くそ能力だな」


 会話の間に回復をしようと試みたものの、【麻痺】で体を思うように動かせず、回復ができない。


 やばいぞ、これ。先手を取られたら、負ける。こちらから先に仕掛けて、優位に立てる状況を作り出すには⋯⋯


 そんなことを考えている時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「おい、大丈夫かディグニ」


 採掘を終えたノーシュが帰ってきたのだ。


「何があったんだ?」


「いや、ちょっとな」


 ノーシュはディグニの体力が削られているのを見て、回復ポーションをかける。ディグニの体力が全回復したところで、【麻痺】と【目眩】を治すためにそれぞれの状態異常を解除するポーションを飲ませ、五体満足の状態にする。


「お前がやったのか」


 ディグニから目を離し、周囲を見まわすと立っていた一人の男。赤いネームプレートの男にノーシュは問う。


「⋯⋯」


 しかしその男、リヒトは何も喋らない。


「回復したら加勢しろ。二人で倒すぞ」


 ノーシュが駆け出す。


「おい、待て」


 ディグニがノーシュを止めようとする。


 ディグニは感じたのだ。ノーシュがやってはいけないことをしたということを、重大なミスを犯したということを。


「【脚筋力増強】!」


 ノーシュは十八番スキルでリヒトに近づくも、ディグニが「待て」といったことからリヒトを警戒。ある程度の距離を取りつつ【跳躍空気板】で高速移動。いつでも首を狩れる状態にする。


「なぜお前は、俺の相棒と戦っている」


 リヒトは答えない。無言のまま突っ立ている。まるで、失恋による喪失感で魂が抜けた人のように。


 だがしかし、その目は殺気による漆黒の色で満ちている。


「なぜ喋らない?いや、喋らなくてもいい」


 ノーシュは心の中で、レッドネームとはまともな会話ができないからなと呟く。


 パキッ


 リヒトが一歩足をずらした時、小枝を踏みでもしたのか、音がする。


 それを合図に、ノーシュがリヒトに向かって跳躍空気板を使って、弾丸のように飛び出す。そして鎢鋼之短剱を逆手で持ち、首を斬ろうとする。


「【死神の断罪(アイムアジャッジマン)】」


 しかし、リヒトが独り言のような声でスキル名を唱えると、リヒトの手が目にも止まらぬ速さで回転し、ノーシュの胴と頭が分かれ地面に落ち、ノーシュは攻撃することも許されず死ぬ(デス)

誤字脱字&ノーシュの言葉遣いがあれですがとりあえず気にしないでください。後で直します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ