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Numerous Divided Life ニュマラスディビデッドライフ  作者: 靄然 翠
〈第1章 水面に映りし月の影〉
15/62

5話『蟲風呂』.13

誤字修正

 森には蝶や蜂が花畑を飛び回っており、至る所に様々な蟲型モンスターが蔓延っていた。蜂は大量に群がっており、蝶は背中からバラのような花が生えていた。


「ここから見えるモンスターでいうと。あの蜂が群体蜂(コロニー・ビー)であっちの蝶がバタフローズ。あとはとりあえずクリスタルビートル&スタッグがいる場所に行くついでに説明する」


 というわけで歩き出す。出てきたモンスターの説明をノーシュがするので、俺は黙って静かに聞く。周りには色とりどりの花々と点滅しながら緑色の光が灯っている。


 すると、飛行機のような大きさで、短くても貨物列車ぐらいの長さの百足のような虫型モンスターが大量に地面からでてくる。


「あれはムカデ。文字は京に足で京足(ムカデ)。ただのクソでか百足だ。ちなみに俺らが知ってる地球の単語があったりするのは、俺らプレイヤーが来る前に召喚者自体はいてそいつらが広めたらしい」


 百足だった。


 京足が上に体を伸ばしているので上を見てみると、天井から蜘蛛のような生物が降りてきていた。そいつが1匹の京足に向かって毒を吐くと、その個体が怯んで地中に帰る。


「あっちの蜘蛛はスパイピオン。蜘蛛と蠍の特性を持ったやつだ。京足はああ見えて毒に弱いから、スパイピオンには勝てない。さらに、毒に弱いため単純な強さで行くと深森部には行けるけど、深森部は毒持ちモンスターが多いので、勝つことができない」


 蜘蛛と蠍⋯⋯か。確かクモ亜網の中にサソリモドキ目ってやつがあるが多分そんな感じなんだろうな。京足も可哀想だな。毒に弱いから強いのに勝てないって⋯⋯


 さらに歩いていると、水色の花が咲いている周りに巨大な蟷螂がいるのが見えた。近付いてみると、カマはどちらかと言うとシャコに近いものだった。


「あそこにいるカマキリみたいなのはシャコマンティス。空気中なら弱いが、下に咲いてるバブルフラワーを使って、強制的に場を水中のようにすることでシャコのようなパンチを繰り出せる。息はできるがな」


 シャコの英名がマンティス・シュリンプだし、なんか名前適当じゃないか?運営じゃなく、昔の人が考えたみたいだが⋯安直だな。


 すると、そこにクソデカいカマキリが現れる。それにシャコマンティスが反応し、バブルフラワーが咲いて水のドームができる。


「あっ、ジャイアントマンティスが来た。ディグニ走るぞ」


「え?なんで」


「いいから早く」


 ノーシュにそう言われその場から離れようとすると、横の地面が巨人に大剣で切られたように抉られ、頬が切れる。


「飛んできたのがジャイアントマンティスの斬撃で良かったな」


「シャコマンティスだったらどうなってたんだ?」


「離れ切る前に一帯が抉られる」


「やばいな」


 俺らは急いでその場を後にする。


 しばらく歩いていると鋼色に輝くカブトやクワガタが現れる。


「おいノーシュ。あれお前が言ってたやつじゃないか?」


「ン?いや、あれは違う。あいつらは鋼兜(シュタールビートル)鋼鍬(シュタールスタッグ)。クリスタルビートルとはまた別種だ。基本防具の材料にしかならないから俺らには必要ねぇな。それと、この辺りにはまだクリスタルビートルたちはいねぇよ」


「そうか、防具なら俺はコレがあるし、今回は無視だな」


「了解」


 そして、しばらく歩き続ける。道中で様々な種類の虫型モンスターがいたり、地面を見れば、小さな虫がいた。小さな虫に関しては小さく強くもないのでネームプレートがついてないが、名前はあるらしい。ネームプレートはある程度の脅威がないとつかないようだ。


 確かに、そういえば街を歩いている⋯⋯おそらくトレードボーグから来た商人が連れている牛には名前がなかった。凶暴そうな奴には名前があったが⋯⋯多分テイム済みだから大丈夫だろうが。


「そういえば、テイムモンスター連れてる人っているのか?」


「いるぜ。俺らが冒険してる時にあったことはないがな.。知ってるところで行くと、アインスさんが馬型モンスターを飼ってるな」


「今度見せてもらうか」


 さらに歩いていると、水風船が破裂するような音と同時に粘液のようなものが足にまとわりつく。


「なんだこれ」


 周りを見てみると、腹部が大きいアリが列をなしていた。


「ヒーリングアントだな。素囊(そのう)が発達したアリで、傷付けずに倒すことで〈ヒーリングアントの蜜袋〉が手に入るんだが。その中に蜜が入ってる場合、回復できる。ヒーリングアントは薬草になるような植物に花の蜜を集めるアリだから、蜜袋を使う⋯⋯割ると回復できる」


「なるほどね」


 と、HPを見てみると、ジャイアントマンティスに頬を切られた時に受けたダメージが回復していた。


「ちょっと集めるか。どうやったら傷付いてない判定なんだ?」


「トマトを採るみたいに付け根のところを余裕を持たせて斬れば手に入るぞ」


「こうか」


 ということでヒーリングアントの腹柄節を斬れば、〈ヒーリングアントの薬密袋(やくみつぶくろ)〉を手に入れる。どうやら、そこそこの量溜め込んでいるので初心者の今ならそこそこ回復でき、投げてぶつかれば割れて味方を回復できるらしいので、少々多めにもらっておく。もちろん敵にあたれば敵も回復するので、命中率を上げなければならないが。


 ヒーリングアントの薬密袋を入手し終わりしばらく歩いていると、吸鉱樹の森が見えてくる。


「そういえば、ずっと周りを点滅しながら飛んでるやつはなんだ?」


「あれはフローラインセクト。ケツが宝石になってる蛍だ。あのケツの宝石は魔力を込めれば光るから、街灯に使われてる。まぁ使われるのは時々いるクソ明るいヤツ⋯グリム・フローラインセクトって言うんだが。そいつの宝石だな。大きさも光量も格段に違う」


 蛍の光が魔力か。色々と説明がつけるいい設定だな。


 そんなことを考えながらも歩いていると


「そろそろ着くぞ」


 と、ノーシュに言われる。もう数分進んだ時、開けた場所に出る。そこにはゴツゴツした半透明のカブトやクワガタ達が跋扈していた。

2日に1回投稿を目指します。毎日はキツイ。

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