3話『巨大な鉄の岩』.11
西門に着いて門番に門を開けてもらい、俺たちは採掘場に向かう。
何人かこの道を通っているので、その間を通って走る。
「そう言やスキルって見たか?」
「ん?そういえばNOWに気を取られて見てなかったな」
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【空圧防盾】
【衝突盾壁】
【加重力】
【点中重】
【投擲 Lv.MAX】stand-by
【衝翔波】
【飛翔盾弾】
【完全防御空間】NEW!
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完全防御空間はおそらくパーティー用のスキルかな。ノーシュ庇ったやつで手に入れたんだろう。んで、投擲だが⋯⋯
「このstand-byってのはなに?」
「あぁ進化待機だな。押してみろよ、多分進化するぜ?」
「分かった」
ノーシュにそう言われ、【投擲 Lv.MAX】を押す。すると、
『進化可能状態です。進化しますか?』
とでたので、もちろん『はい』を押す。
『経験データに加えて"召喚者"の脳内データを参考に該当現在スキルおよび新スキルの創造を開始します』
召喚者は確か俺たちのことだっけか?本来、召喚者は召喚する方のことを指すが、こちらでは召喚されるほうを召喚者といい、するほうを"召喚士"と呼んでいる。
「なんかよくわからねぇこと言い出したぞ?」
「あぁ。最新のAIが人間の記憶から近いものや新しいものを探したり作り出したりするらしいぜ。もちろん潜在意識や本人が他人に知られたくない情報は見ないし見れないようになってるらしいから気にしなくていいぜ」
「はぇ〜」
『作成を選択。召喚者の脳内データから遊戯:麻雀を選択。スキル【投擲】をスキル【槍貫】に進化させます。これに伴い、新たなスキルの作成時に遊戯:麻雀が強く反映されます』
おい、ふざけんな。なんでよりにもよって麻雀なんだよ。そこ、もう⋯もっとあっただろ。花札とかポーカーとか⋯⋯だめだ、結局そっち系統だ。とりあえず、それは置いといて、槍貫は槍槓からきてて『槍のように貫く』ってことかな?多分だけど。槍を使ってたら同じ字で違う読み方をしたんだろうな。
「槍貫ってやつに進化した」
「なんだそりゃ」
「槍槓っていう麻雀の役が元になってる」
「麻雀か。花札ならわかるんだがな」
「花札な。何月が好き?」
「個人的には三月だな。嫌いなのは十二月」
「やっぱり十二月が嫌いな人って多いよな、カスばっかだから。俺個人的には桐に鳳凰が好きだから十二月は嫌いじゃないんだよね。でも、一番好きなのは梅だな。嫌いなのは十一月。五光・タネ・短冊・カスっていう札だけ見たらいい月だけど取ったら三光がなくなって雨四光を狙うしかなくなるから嫌なんだよ」
「麻雀やってんだから基本上を目指す人間だろうが」
「あぁもちろん。国士ツモったら十三面にするぞ。基本的にローカルルールだから身内の時かそれができるゲーム内じゃないとしないけど」
「何言ってるかルール知らないからわかんないが、つまりこいこいしまくって五光を狙うってことだろ?じゃあ別に三光消えて雨四光でもいいだろうが」
「なんか気に入らないんだよ」
「まぁわからなくもないが」
「わからなくもないのかよ」
そんなしょうもない会話をしながら走っていると泥沼が見えてくる。俺は足装備を爆鱗樏に変えて走る。別に樏を使わなくとも泥の上は走れるが、スタミナの関係上初心者では走り抜けるのが厳しい。ノーシュに関してはそっちに振ってるから泥沼を渡り切れる。
「ところで、なんでここは泥沼なんだ?」
「え、知りたい?」
「だって気になるだろ。なんでこの場所は沼地になったのか。周りはぬかるんでないのにこうなったのか」
「仕方ないな⋯元々は川から少し水が流れてくるだけだったんだよ。で、川から土や岩を食う⋯正確には土や岩についてる微生物を食べる魚が流されてここの土を食い、そして残った泥が排出されて溜まって泥沼になった。んで、他にも何体か流されてここで繁栄した。今は泥の中で微生物が繁殖するから泥を喰い泥を出すウサギみたいなことをしてるな」
つまり何人かは魚の糞だらけの場所を歩いてるってことか。最悪だな。
「はぁ、なるほどな。たまたま流されたら最高の空間になったってことか。でも、水ってどこに行くんだ?溜まり続けるだろ」
「蒸発で消えてるんじゃねぇの?それかどこからか漏れてるとか。こんなこと聞いて意味あるのか?」
「ないよ?ただただ気になるだけ」
「じゃあ自分で調べろよ。それは置いといて、ほら見えてきたぞ」
そう言われ前の方を見ると、巨大な隕石が奥の方に見える。
え、採掘場って隕石なの?
「よし、じゃあスピードあげるぞ」
「分かった」
◆◇◆◇
あれから数分走り隕石の前に立つ。隕石は全長約200メタル、高さ約100メタルの巨大隕石だった。
「は?デカくね」
「あっ、ちなみにこいつ掘っても掘っても再生するから。そういう生き物なんだとよ」
「は?これが生き物?デカすぎないか」
「まぁこいつよりでかい生物はいるらしいがな。何人かが空を見上げたらこちらを巨大な眼球が見ていたって言ってるし、この周りの海もあまりにもデカすぎるから超巨大生物がいるんじゃないかって言われてる」
「まじかよ」
海にはリヴァイアサンは確実にいるし、あれだが。巨大な目か⋯⋯そんな話、俺は聞いてないが。おかしくはないか、半分異世界じみた世界だし。もしかしたら他にもそういうのがいるのかもな。隕石が生物なら、星とか銀河が生物とかある可能性も⋯なきにしもあらずか。そんな奴らと戦うかも知れないの?嫌だな。
「どうしたんだよ、急に黙って」
「いや、ちょっとな。とりあえず掘ろうぜ」
「了解。というわけで、これ」
と、ノーシュが鎢鋼之短釼や鎢鋼之対刄釼と同じような鶴嘴を取り出す。
「これはお馴染み鎢鋼シリーズの〈鎢鋼之鶴嘴〉だ」
「本当に好きだな。鎢鋼シリーズ」
「当たり前だろ」
「そういえば、鎢鋼之短釼って必要なのか?対刄釼があるなら要らないだろ?」
「いるよ。単純に鎢鋼之短釼は対刄釼よりも硬くて攻撃力が高い。相手が自分より速いなら対刄釼を使ってスピードを下げさせながらダメージを入れる。俺より遅いなら短釼を使ってボコす。そういう話。NOWが弱いからな。そうするしかない」
「なるほどな」
「んじゃまぁ掘るか」
30分後
「そろそろいいだろ」
「あぁそうだな」
「ディグニは何が手に入った?」
「〈鉄〉と〈輝塵〉と〈洋白鉱〉だな」
「洋白鉱は使えるが輝塵は売るしかないな。結構いい値段で売れるからいいぜ」
「へ〜。ノーシュは何が手に入った?」
「〈洋白鉱〉と〈メテオアイアン〉だな。メテオアイアンは文字通り隕鉄だ」
「目当てのものは手に入ったのか?」
「メテオアイアン狙いできたからな。手に入った。あとは⋯ついでだし、虫の所行ってもいいか?」
「虫の所?」
「あぁ。そこで採れる〈黒曜外殻〉と〈金色鋼石〉が欲しい」
「おけおけ。じゃあとりあえず、一旦ログアウトしてもいいか?」
「あぁそうだな。小腹すいたし30分後集合で」
「うい」
俺たちは近くの休憩所でログアウトする。
設定吐き出しとノーシュの武器の為に虫は必要なんや⋯
NOWは基本進化します。NOWはプレイヤーの意図や欲を感じ取り、10レベルや20レベル等のタイミングで進化します。が、ノーシュは早々にNOWに希望を捨てたので進化していません。
麻雀・ポーカー繋がりで。この世界にはカジノがあります。本編では出すつもりは無いのですがね。それと、闘技場等もあるのですが、今のところオッズがよく分からないので戦闘練習で使う時以外は出さないつもりです。理解ったら出します。




