「お前、もういらない」と言われたので全てのことから手を引きました~おかげで幸せになれました!ありがとうございます~
「婚約を破棄する!」すら宣言出来ないぐらいのダメ男を書いてみたくなったので書いてみました。
ぜひ読んでみてください(*^^*)
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「お前、もういらない」
こいつは急に何を言っているんだろう…?
教師が呼んでいたので、探しにきた私に最初に言った言葉がこれだ。
「カイル様?急にどうされました…?」
すると、呆れ果てた顔でこちらを見て言った。
「だから、お前はもういらないんだ。
俺にはマリアナがいてくれるから」
と言って横にいた小柄な女性の腰を抱いて引き寄せる。
「カイル様~。ルナ様が睨んできて私こわ~い!」
「おい、マリアナを睨むな!
そんなんだから、俺にいらないって言われるんだよ!
ついでに、婚約も破棄しとけよ!」
ルナは、婚約者…いや、もうすぐ元婚約者になるであろう男を静かに見据えた。
カイル様は、私と同じ伯爵家の嫡男。
この婚約に政略的なものはなく、ただ親同士が仲良く、それぞれの子どもが男女だったら婚約させよう!みたいな流れで決まった婚約だ。
それに、何でもかんでも人任せでいい加減疲れてきた。
なので、いらないと言われようと婚約を破棄しようと別に構わないんだけど…。
でも、さすがにいらないはないわよね…。
私は物でもないし、私がいなくなって困るのはカイル様だと思うのだけれど…。
マリアナ様が今後は私の代わりをしてくれるのかしら?
まぁ、カイル様って無駄にお顔だけはいいから。
それにしても、婚約を破棄する!とかではなくて、破棄しとけよ!って言われた場合どうすれば良いのかしら?
せめて破棄する!ってかっこよく宣言するぐらいの男気は見せて欲しかったわねぇ。
やはり帰ってお父様に相談?よね。
「カイル様。本当に私はもういらないのですね?
婚約もこちらが勝手に破棄の手続きをしてもよろしいのですね?」
「しつこいぞ。
お前はいらないし婚約も破棄しとけって言っているだろ!
お前はいっつもグチグチうるさいし、マリアナみたいに可愛くないし、一緒にいてもつまらないんだよ」
「………かしこまりました。
では、今後私の代わりはマリアナ様がしてくれるということでよろしいでしょうか?」
「ふん。代わりどころか、マリアナのほうがお前より可愛いし優秀だし、よっぽど俺の隣にふさわしい」
「キャ~!カイル様マリアナ嬉しい~」
うわぁ…アホらしっ。
どこが優秀って?
成績上位者の名前にマリアナなんて名前あったかしら?
まぁ、いいわ。
これでお役ごめんみたいだし、最後の頼みぐらい喜んで引き受けてあげるわ。
これからどうなるか見物ね。
「かしこまりました。
それでは、私はこれで失礼いたします。
あ、あとカイル様。ポール先生が探していましたよ。
それでは」
さて、帰ってすぐお父様に報告しなくては。
帰宅後、私はまず家にいたお母様とお兄様に先程の出来事を伝えた。
すると、2人とも涙ぐんで喜んでくれた。
「ルナ、よかったわね!よかれと思って決めた婚約だったけど、あなたの負担になることばかりで見てるこっちが辛かったもの。何も出来なかった母を許してね」
そう言ってお母様は優しく抱き締めてくれた。
「ルナ、例の物はばっちりか?」
「えぇ、お兄様」
そう言ってルナはポケットから小さいビー玉のようなものを取り出した。
「ここにばっちり証拠は残っているわ」
小さい頃から人任せだったカイルのせいで何度も苦労した経験があるルナは、いつしか録音機能が備わっている魔道具を持ち歩くようになっていたのである。
今回も忘れることなく持ち歩いていたおかげで、カイルの証言に加え、不貞の証拠まで手に入れることが出来た。
「そっか。ルナおめでとう」
そう言ってお兄様も優しく抱き締めてくれた。
あとは、お仕事から帰ってきたお父様に伝えるだけね。
そして、夜お父様が帰ってきて2人に伝えたこと、それに証拠の魔道具を出した。
これには、さすがにお父様も怒りをあらわにした。
「あいつはルナを何だと思っているんだ!
よし、わかった。この件は任せてくれ。
ルナ、今まですまなかった」
そう言ってお父様も優しく抱き締めてくれた。
「お父様ありがとう」
――翌日――
学園でのカイル様は、私に言いたいことを言えた反動なのか、以前にもまして堂々とマリアナ様と仲睦まじく過ごしていた。
そして、夜お父様が帰ってきて一言。
「ルナ、無事に婚約破棄の成立だ!
もちろん向こう有責でだ」
「ありがとう、お父様!
これで、もうカイル様の後始末をしなくてすむのね!」
「あぁ。今まで本当にすまなかった」
「いいえ、お父様。
私ではきっと力不足だったのです」
「そんなことはない!
だが、お前は充分頑張った。
これからはしばらくは、自由に暮らすといい」
「はい、ありがとうございます」
この日のディナーは、まるで誕生日のごとく豪華な食事だった。
――数日後――
バカイル様から離れることが出来たルナは以前に比べて格段に明るくなった。
そのおかげか、ここ最近はとても円満に学園生活を送っている。
だと言うのに…
「ルナっ!お前最近どこにいたんだ!
探したではないか!
前みたいに授業で出るところや課題をなぜ教えに来ない!」
こんなことを大声で叫ぶものだからまわりの目がどんなものかおわかりだろう。
「バカっ…いえ、ハーバレルト様、ご機嫌よう」
危ない、うっかりバカイルって呼ぶところだったわ。
もう婚約者ではないんだから名前で呼ぶのはマナー違反ね。
「何を呑気に挨拶なんかしている!
さっさと行くぞっ」
そうして手を掴んでこようとしたので避けようとしたところで
「ルナをどこに連れて行くんだい?」
と言ってその手を掴んでくれた声があった。
「誰だよお前は!」
「初めましてかな?
僕の名前はグレン。グレン=シルヴァイユだ」
「グレン様…」
「ルナ、大丈夫だった?」
「えぇ、ありがとうございます。
助かりました」
「な、なんでルナが公爵家の人間と話してるんだよ!」
「何でって、ルナは僕の婚約者なんだから話すのは当然だろう?」
「はぁ!?婚約者だと!?
婚約者は俺だ」
「はぁ…。ハーバレルト様。
私達の婚約はすでに破棄されております。
覚えておりませんか?
以前婚約を破棄しておけとおっしゃったので、その通りにさせていただきました。
もちろん両家にも報告済みですよ?」
「なっ…」
「ま、まぁ、それはいい!
ただ、それと課題は別だろう!?
お前はずっと俺に教えてきたんだからこれからも教えるべきだろう!?」
「それも、婚約者だったから仕方なくしてきたことです。
それに、私言いましたよね?
今後私の代わりはマリアナ様がしてくれるのかと。
それに対して、代わりどころかマリアナ様のほうが可愛くて優秀だとおっしゃいました。
ですので、私の役目は終了ですわ」
「あのときは悪かった!
マリアナは代わりどころか全然勉強が出来なかったんだよ!
だから頼む!このままだと俺は進級出来るのかもわからないんだ」
「今更そのようなことを言われても…。
私はもう婚約者ではないですし。
マリアナ様と一緒に頑張るしかないのではないですか?」
「ぶふっ…」
「もぉ、グレン様。
笑ったら失礼ですよ?」
「ごめんね?ルナ。許して」
そう言ってグレン様は私の手を持ち上げて口付けをしてきました。
…………ッキャー!!!
グレン様ったら、何もこんなところでしなくても!
恥ずかしいですわ!
誰かに見られたら…
すごく見られてますわーーー!!!
「はぅっ…」
「そういうわけで、ルナは連れて行くよ」
「ま、待て!」
「君は、そのマリアナ?だっけ。
その女性と頑張りたまえ。
ルナは、もう僕の愛しい人だ」
しばらくの間、グレンとルナが去って行った方向を呆然と見るカイルが1人残されていた。
◇◇◇◇◇
帰りの馬車で
「ルナ、落ち着いた?」
「もぉ、グレン様ってば。
あんなところでしなくてもいいではないですか」
「だって、君の元婚約者がまたルナを奪いにきたら困るだろう?牽制だよ、牽制。
ずっと、ルナのことを見てきてやっと手に入ったんだ。
もう誰にも奪わせはしないよ」
「そんなことはないと思いますけど…。
私も、グレン様のことお慕いしておりますわ」
「僕もだよ」
そう言って2人の顔が近付いていった。
その後、グレンとルナは誰もが認めるカップルとなり、そのまま卒業。
カイルとマリアナについてはいつの間にか姿を見ることがなくなっていた。
数年後には2人は晴れて結婚。
子宝にも恵まれ幸せな家庭を築いた。
問題の2人について、どうなったかは…
またいずれ。
誤字だらけですみませんm(_ _)m
9/18 誤字報告ありがとうございました。
“役不足→力不足”に訂正しました。
9/19 誤字報告ありがとうございました。
報告を受け、一部文章を変更させていただき ました。
“そんなことをおっしゃられましても…
→今更そのようなことを言われても…”
に訂正しました。
9/20 誤字報告ありがとうございました。
“手にいれる→手に入れる”に訂正しました。
9/21 誤字報告ありがとうございました。
“何度も苦労【し】た経験があるルナ”
この部分、【し】が2つ並んでいたので1つ削 除させて頂きました。
“これで、私これからはカイル様
→これで、もうカイル様”
に変更しました。