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可愛いい弟を愛でるには  作者: ダイフク
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13.悲劇の真実



お友達になったアドリアネは、とても素直な子だった。

周りがちょっと屈折してるので、その素直さが珍しくて、楽しい。


親しくなると、彼女は、自分の前世の話をしてくれるようになった。馬車じゃなくて、自力で走る車、飛行機。遠くの人の顔を見ながら話せるスマホ、ゲーム、Web小説。


彼女の話には、たくさんの事業のネタがあるし、学ぶべきものも多い。


もしかしたら、彼女の話を元にした事業を始めれば、同じように彼女と同じ世界の記憶を持つ人を探し出せるかもしれない。


その話をしたら、アドリアネが泣き出してしまって、私は、初めて彼女の孤独を知った。



それから、私達は、その世界の人が見つけてくれそうな事業を共同で始めた。


お兄様に頼んで、お店を用意して貰い、カフェを開いた。

フワフワなフルーツいっぱいのパンケーキ、泡立てたミルクの乗ったコーヒー。フォークで割ると、中のチョコレートが流れ出るチョコレートケーキ。口の中でホロホロと崩れるクッキー。


どれもアドリアネが好きだったもの。


カフェは大人気で、連日満席。



そして、ある日、パンケーキを食べながら、涙を流す青年が現れた。

早速私は、ケーニクスに身元を調べて貰った。

彼の名は、ホフマン・クルーガー子爵令息。

小説では、名前が出てこなかったが、キースの同級生で、姉の死の真実を探る時、偶然居合わせて、追っ手を誤魔化してくれる人だった。


「私、話をしてみる。」


彼の事を調べた報告書をアドリアネに渡し、後は任せることにした。



そして、1週間後、二人はそれぞれの両親の承諾を得て、婚約する事になった。アドリアネの言うところの、スピード婚らしい。

二人が幸せそうで良かった。

カフェは、結婚祝いにアドリアネに贈ることにした。




「ねぇ、レイラ。小説とこの世界、全く違うようで、同じ部分はあると思う。」

「そうなの?」

「キースのお姉様の死だけは、同じだと思うの。どうする?レイラがキースに教えたいなら、教えるけど。」


知りたくない訳じゃない。でも知ったら何かが変わると思うと知りたくない。

私の気持ちはどちらなんだろう。



「お兄様に相談してみる。」


ケーニクスはお兄様に聞けと言った。私も逃げずに一歩踏み出す時かもしれない。




「お兄様、今よろしいですか?」

「いいよ。お入り。」


私は意を決してお兄様の部屋に入った。

お兄様はソファに座ってこちらを向いていた。そして、その正面にはキースが。

駄目。キースの前では聞けない。キースを傷つけたくないんですもの。


「キースと一緒だったのね。あ、私、後で出直すわ。」

「いいからお座り。」

「でも。」


お兄様の有無を言わせぬ雰囲気。

お兄様は、私が来た理由を知っているのね。だから、キースまで。

お兄様には、敵わないわ。


「色々調べていたのは知ってるよ。でも、まさかあの少女が異世界の記憶を持っていて、真実を知っているとは思わなかった。」

「どうして、それを?……あ、ホフマン様ね。」

「そう。彼も真実を知っていたからね。聞いたんだ。」

「驚いた?」

「いや、知っていたから、ただの答え合わせだった。」

「キースは?」


私はキースに目を向けた。


「最初にレイモンドに屋敷ごと買われた時に教えられた。その頃は、何を言っているんだと思ったな。」

「今は?」

「理解している。あれは、俺と姉上を殺す為のものだった。」


事件の真相は、夫人と、その恋人である侍従の犯行だった。

夫人は、夫もその子供達も嫌いだったが、離婚して家を出るつもりは無かった。そんな時、恋人との間に子供ができた。

彼女の計画では、まず子供達を殺し、子供が生まれたら、後継として承認させた後、夫を殺すつもりだった。


彼らはその相談を教会に行った時に、こっそり話していたが、そこに偶然、レイラが居合わせた。

幼いレイラに話の内容がわかるわけもない。


それなのに、彼らはキースの体調を崩す目的で手に入れた子供の体に毒になる飴をレイラに渡して、食べさせたのだ。

これが、レイラが死ぬきっかけだった。

マナ使いのレイラは、体調が悪くなり、慌ててマナで体を整えようとして、マナを暴走させた。毒は抑えられたが、レイラにマナ暴走は抑えられなかった。



「どうしてお兄様はその事を?」

「レイラにキースが弟に欲しいと言われたので、色々調べている間に知った。レイラの事を知った時は、家ごと潰してやろうと思った。」

「でも、潰さなかったのね。」

「師匠もね、とても彼らを憎んでいたんだ。だから、レイラに飴を渡した夫人とその恋人は、任せて貰って、後は師匠に託したんだ。」

「キースは?自分のお母様なのに良かったの?」

「違うんだ。レイラ。キースの母は夫人の侍女だった。」

「え?でも、まさか……。夫人が産んだ事にしたの?」


「俺の親を名乗る奴らは最低だ。」

「キース。」


やっぱり知らなければ良かった。胸が痛い。


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