10.お兄様達の学園生活
2年に進級したお兄様達は、生徒の絶大なる支持を受けて、お兄様が生徒会長、キースが副生徒会長に就任した。
既に実業家として大成されているお兄様にとって、生徒会運営は、難しいものではなかった。
ただ、とても仕事が多くて、二人が週末に帰ってこられない事が続くと、お兄様がとても不機嫌になった。
私も寂しい。
そんな中、お兄様が素敵な解決策を見つけてくれた。
つまり、代わりに働いてくれる手足を見つけたのだ。
それこそが知のモルロワの双子。ケーニクスと、アクバルだった。彼らはお兄様の1つ下。今年入った新入生。
「でもお兄様、新入生に生徒会活動をさせられるのですか?」
「問題ない。生徒会長と副生徒会長以外は、会長の指名制なんだよ。」
「あら、そうなんですね。」
キースが、溜め息を。やはり疲れているんだわ。早く手伝いを手に入れられるといいわね。
自分の剣の型を体で覚えたキースは、水を得た魚のように、才能を開花させた。
見ているだけで陶然とする剣の冴え、マナを使わなければ、キースに2回に1回も勝つ事ができない。
とても素敵で幸せだわ。
1ヶ月後、お兄様が双子を連れて屋敷に戻ってきた。
双子って初めて見るけど、不思議ね。本当によく似ているの。でも、マナの色が違うから、すぐに分かるわね。
「レイラ、よく見て。右が、ケーニクス、左がアクバルだよ。」
「ケーニクス様とアクバル様。」
「じゃあ、目を閉じて。」
何をするんだろう?私は目を閉じて、背中を向けて、耳も塞がされた。
「もういいよ。こちらを向いて。」
振り返れば、前と同じ位置に二人が立っているだけ。
あまりに不思議でお兄様を見ると、何やらいたずらっ子の顔になっていて、とても楽しそう。
「レイラ、二人の見分けはつくかい?どちらがどちらかわかる?」
「はい。お兄様、分かりますわ。」
「では、ケーニクスはどっち?」
私は迷うことなく、右に立つケーニクス様のところに近寄り、手を掴んだ。
「ケーニクス様です。」
双子が驚いて同じ表情をする。なんだか可愛い。思わず笑ってしまったら、やっぱり揃って赤面した。
双子ってそんな所までそっくりになるのね。
「レイラは言った通り、1発で当てたぞ。明日から生徒会を手伝う事に意義はないよな。」
「お二人共よろしくお願いします。お兄様もキースも大変で、週末にも屋敷に戻って来れなくて、私、とても寂しいんです。」
二人が揃ってコクコクと頷く。いい人達で良かった。
あら、キース。どうしてそんな顔をしているの?まるで凄く苦い物を食べたみたいな顔よ?
「生徒会、頑張ってお手伝いさせて頂きます。会長、副会長とも親睦を深める為、週末は僕達もこちらの屋敷に来させて下さいね。」
「まぁ素敵。」
「レイラ?彼らが来ても良いの?私との時間が減ってしまうよ?」
「2人より4人の方が楽しいでしょう?お仕事の相談もしやすいでしょうし。レイラはお兄様とキースの顔をこうして見られるだけで幸せよ。」
お兄様が何も言わずに私を抱きしめてきた。
どうしたのかしら?とりあえず、撫でて差し上げよう。
頑張って背伸びをして、お兄様の頭を撫でる。
お兄様は、私が撫でやすいように、私の肩に頭をつけてくださったから、いくらでも撫でれるわ。
ふふっ。甘えるお兄様は、なんだか久しぶり。
お兄様のサラサラした髪の手触りが気持ちよくて、いつまでも撫でていたくなる。
急に反対の左手を掴まれてそちらを見ると、キースが私のそばに屈んで私の手を彼の頭の上に乗せていた。
キースも撫でて欲しいの?
キースのツルツルな髪はお兄様の髪と手触りが全然違うのに、やっぱり気持ちいい。
私は、二人の髪の手触りをゆっくりと楽しんだ。
モルロワの双子が生徒会に入ってから、お兄様達は、ちゃんと週末に休憩が取れるようになった。
私もお兄様の役に立てるよう、もっと勉強しよう。
私は、努力だけは得意なんだから。
そして、今日も図書室に王立図書館で借りて来た本を広げた。
これで、やっと3分の1。王立図書館の本は残りがあと2倍。入学前に読み切りたかったけど、無理かもしれない。でも、諦めずに頑張ろう。




