隣の席の鯉佐木 愛奏
コンテスト用に、即興で作り上げたお話です。
最後まで、暖かく見守ってくれるとマジで有り難いです。
1話目はプロローグになってま〜す。
「鯉佐木さん、おはよう。今日も頑張ろうね」
登校したら必ず、僕は隣の席の女の子に挨拶をする。
だけど、
「……」
──その子は、基本的に無言だ。
挨拶をしても頷くだけ。表情だって、眉一つ変わらない。
でも僕は知っているから、何とも思わない。いつもと同じなんだから、気にすることでもない。
鯉佐木愛奏。
彼女と出会ったのは、去年の入学式。高校生活初日で、僕は目を奪われた。
隣の席にポツンと座っていた彼女は、誰がどう見ても優れた容姿をしていて、そのクールな佇まいもあって言葉にならないような魅力があった。
だけど、僕はそこで気を取られた訳じゃない。何よりも、逆に目立っていたことがあるのだ。
──鯉佐木さんは、独りだった。
まるで人形。
ただ静かに俯いているその姿は、確かに近寄りがたかった。口を開きもしないから、不思議な感じもする。
けど僕は、そんな鯉佐木さんが自分とよく似ている気がして、意を決して傍に寄った。
「あの……僕は小谷耕介。これから、隣になるからよろしくね」
……てな感じで、挨拶してみた。僕はドヘタレだから、物凄く勇気が要った行動だった。
不意に話しかけられた鯉佐木さんは、何故か学生証を取り出してペコりとお辞儀。この時僕は確信した。
鯉佐木さんは、僕以上に内気な性格なんだと。
──それから一年間、僕は毎日鯉佐木さんに話しかけた。次第に心を開いてくれているのか、鯉佐木さんも小声で返してくれるように。
クラス替えも席替えもないから、今年も彼女が隣にいる。
多分だけど鯉佐木さんにとっては、僕だけが話せる存在。
昔の僕もこんな感じだったから、気持ちは分かってあげられているつもり。だから、せめて卒業までは仲良く出来たらって思う。
去年は打ち解けるのだけ積んだから、今年はもっと、色々話したり出来たらなって願ってる。
かなり不器用な鯉佐木さんと僕との高校生活は、二年目に突入した。
めげずに、彼女の声を聞き続けよう。
「……おはよう。…………ございます。がん、ばりましょ……う」
「うん。じゃあ、何か困ったことがあったらいつでも頼ってね」
「……うん」
そんなに出来ることはないけど、男らしくしていなきゃ不安にさせちゃうかもだしね!
僕に出来ることなんて殆どないけど!