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今日も頑張れ黒幕(仮)くん!~ユニークスキル【深化】で黒幕になりたいけど、それどころではないぐらい巻き込まれています~  作者: 御神酒
四章 黒幕(仮)結託

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76話 泉の女神と誘拐犯の手口

 


 やっぱり無理だった。同じ場所から進んでるようで進めてない。どうしたもんか。マツは洗濯してるから邪魔しないように……ん?



「これ池じゃなくね?」



 真ん中辺りがブクブクしてる。生き物の可能性もあるが、かなり澄んだ水だから居たら見えるはずだ。つまり、あそこから水が湧いてるので、ここは池じゃなくて泉だ。


 ……だからなんだよ。何も変わらんわ。



「適当に木の枝でも投げ込んでみるかー」



 ボスでも出てきてくれたら嬉しいな。



 ポチャン



 〈あなたが落としたのはこの金の枝ですか? それともこの銀の枝ですか?〉



 わお、よくあるあれじゃんか。そういや、あれって泉だったっけ。泉の女神さんちっす。



「俺が落としたのは普通の木の枝です」


 〈正直者のあなたには金の枝と銀の枝を差し上げましょう〉



 テレテレーン♪ 俺は金と銀の枝を手に入れた。やったぜ。


 他にも色々ぶち込んでやろう。キャシーちゃんのナイフはこわいので出番の少ない今剣(いまのつるぎ)にしとこう。



 ポチャン



 〈あなたが落としたのはこの金の短刀ですか? それともこの銀の短刀ですか?〉


 淡々としてるなー。機械みたいだ。


「普通の短刀です」


 〈正直者のあなたには金の短刀と銀の短刀を差し上げましょう〉


 …………なぜかものすごくむず痒い。虫が肌についてる感覚。今は裸エプロンならぬ、裸外套だから下から入っちゃったんだろう。脱いじゃおう。



「よっと」


「ご主人様のえっち」


「ならこっち見んな」



 洗濯してると思ったらこっちを凝視してきた。流石にまずいだろ。てか運営も下着をデフォルトでつけてくれてばいいのに。


 泉の女神は消えているが、むず痒さは拭えていない。きっかけは短刀を受け取った時だ。……つまり短刀に何か仕掛けられている?



「【魔眼】、ついでに【浮遊】」



 ログアウトすると切れちゃうから忘れとった。常につけといて育てなきゃ。


「なんじゃこりゃ?」



 短刀からすごい魔力の糸みたいなのが巻きついている。というより、この短刀自体が糸でできているみたいな感じだ。


 先程の枝も見てみる。……短刀程じゃないけど糸が。泉の女神を問い詰めてみようか。


 ポチャン



 〈あなたが……〉


「どういうこっちゃ! これ! パチモンだろ、返せや!」



 鎌をかけるのが交渉術の初歩だ。まずは勢いに任せた恫喝まがいの追求をしてみる。



「フェッフエッ、もう気づいたのさね。よくぞ見破ったのさね」



 いかにも魔女って感じのローブを着た皺がれた声の人がどこからともなく現れた。口ぶり的にこいつが犯人らしい。……【魔力感知】くん、生きてる〜?



「ここに閉じ込めて、何が目的なんだい?」


「そうです! 私、ずっとここから出れなかったんですよ。あと、ご主人様はいい加減外套着てください」



 おっと、失敬。なかなか爽快感があって忘れてた。露出狂の人がハマる理由が分かった気がする。露出狂になるつもりは微塵も無いけど。



「お連れが魔王様の城で待っているさね。案内するから着いて来てほしいさね」

 


 怪しい。俺知ってる、そう言って誘拐するんだよな。……具体的なことを聞いて判断しよう。



「具体的に連れのことを言ってみなよ」


「人間の子供二人とその他だね」



 ネアは子供判定か?



「その他は?」


「吸血鬼と魔人さね」



 どっちも心当たりは無いから嘘確だ。敵認定!



「マツ、やっちゃえ!」


「お任せ下さい!」



 イッちゃってる笑顔で突入していくマツを見届け、泉に潜る。



「ビバボブブビバベベバ!(今剣返せや!)」



 あの金と銀のやつは偽物だ。あの魔女風のやつが仕組んだに違いない。ぜってー取り返してやる!


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