45話 軌道修正と仮面(ver.2)
「変装解いてる時はカバンにでも入れとこうと思ったんだけど、いい?」
〈何を入れるの?〉
「いや、お前だよ」
〈え……あー、私でバレるからって事ね〉
「そゆこと」
〈なら仕方ないわね!〉
人化してくれてもいいんだけども。そうやって雑談をしていると大司教さんの家に到着。
「おまたせー」
「こっちも色々準備していて、今来たばかりよ」
デートの待ち合わせの常套句入りましたー。
〈うわ、サキュバスじゃない……〉
「何、このたぬき?」
「なんか若干喋り方似てるね」
〈「似てないわ」よ!〉
仲良しかよ。
「で、色々って何をしてたのかな?」
「脱出経路の確認と逃げられた時の罠を仕込んだりしていたわ。そっちはどうなの?」
「内緒だよ」
「またそれなのね」
メロス見つけたぐらいしかしてないし。あ、リスポーン地点の更新するの忘れとった。死なないように気をつけないと。
……あれ? これ俺が参加するメリットあるか? 経験値くらいか?
ならいっそのこと、この国を滅ぼしつつサキュバスさんも殺っちゃおう。経験値ウハウハになるし。負けそうな敵の幹部を背後から始末するとか悪役あるあるだし。
「じゃあ、ボクは少し休むよ」
「わかったわ」
ログアウト。
トイレに行ってから、スクランブルエッグとコンビニのスティックサラダを食べる。
姉さんはまだ寝ているようだ。落ち着けるから今日の方針を考える。
まずは、勇者を聖剣に誘導する。次にサキュバスさんが横から殴りかかる。そこで漁夫の利を狙う。あとは殺しまくるだけ。
うーん、なんか忘れてる気がする。徹夜すると記憶力よわよわになってるから少し心配だ。
ま、いっか!
ログイン。現在は7日目朝7:00だ。
〈ぐっすりだったわね〉
「あー、俺、異界人だから」
〈いかいじんって何よ?〉
「あれ? 知らないの? 町の人でも知ってたのに」
こいつは物知りだと思ってたんだが。
〈……単語の知識は野生の私より、人間の方が多いからかしらね〉
なるほど。伝承とかで神の啓示とかで人間とかにだけプレイヤーの情報が行き渡ってるのかもな。
「異界人ってのは、こことは違う世界から来た奴のことだな」
〈? 違う世界ってどういうこと?〉
むむむ? ……確かにそういうのは予め認識しなきゃよく分からないのかもな。そう考えると、最初に異世界とかを考えた人は実は本当に異世界から来てたりして。冗談はともかく、
「とりあえず異界人は、死んでも生き返って、定期的に死んだように寝るやつってことを覚えとけばいいぞ」
〈よく分からないけど、分かったわ〉
どっちやねん。
「それより、サキュバスさんと大司教さんは?」
〈もう待機するそうよ〉
「サキュバスさんはともかく、大司教さんも? 不自然じゃないか?」
〈いつも通りを装うために、朝早くから礼拝に行くとかなんとか言ってたわよ〉
なるほど。魅了されてたから忘れてたけど、大司教さんは真面目な信徒だったんだ。
〈そうだ! 何をしでかすか聞いたわよ! 聖剣をぶっ壊すそうね!〉
「そうだな」
〈なんでよ、ご主人は人間でしょう?〉
ご主人呼びなのか、別になんでもいいけど。
「何かマズイん?」
〈聖剣無しだとかなり弱い勇者になるわよ〉
「実体験?」
〈まあ、そんなとこね〉
…………ならやめといた方が良さげだ。張り合いが無くなってもつまらない。少し軌道修正だな。サキュバスさんが聖剣を破壊する前にサキュバスさんを殺して、その後に聖剣を壊さず勇者を殺すって感じでいくか。
「ならやめとく」
〈そう……そういえば、あの魔族がご主人の仮面が外套と比べてうんたら言ってて、新しいのを置いてったわよ〉
性能面でってことかな。まぁ、ただ顔を隠すだけのために着けてたし。
新しい仮面は、白を基調として、紫の線が目の周りや口に数本のった狐面だ。
〈これかなりの物よ。【偽装】とか【変声】とかが付いているもの〉
「待って、アイテムにスキルが付くのか?」
〈当たり前でしょ? 高性能な物には基本的に付いてるわよ 〉
高性能の定義は分からんが、メロスの言い方的にはスキル付きのアイテムは判別できるということだ。
「他にスキルが付いてるのが無いか見てくれ」
〈分かったわ〉
キャシーちゃんのナイフには間違いなく付いてるはずだ。あれにはホントにお世話になったからな。
普段使いしてる物の評価が高いと嬉しくなるよね!




