3話 初アーツと村
もしかして【隠密】はパッシブだから上がりやすいのか? 常に気配が薄くなってんのかなー?
歩いてるけど【歩術】が上がらないのは、アーツ使ってなかったからかな?
使ってみよう。
「【踏み込み】!」
左足が勝手に動いてる。不思議な感覚だな。
ドンッ
終わったっぽい。左足を前に強く踏み込むアーツか、これに合わせれば攻撃の効果が上がるってところか?
そういえばスキルはステータスでタップして詳細が見れたよな。 アーツもいける?
「ステータスオープン」
プレイヤーネーム:クロ
種族:人間?
レベル:5
特性:変人・狂人
HP:250
MP:100
スキル:□□・隠密3・歩術1・成長促進1
スキル
【歩術】ランク:ノーマル レベル1
歩き上手になる。歩くことに補正が入る。
アーツ:・踏み込み
アーツ
【踏み込み】
利き手の反対の足を前に強く出す。
CT:5 秒
え、説明これだけ? スキルレベルが上がればいいアーツも出てくるよな?
とりあえず使いまくりながら、村に行くか。
1回も魔物に遭遇してないのって【隠密】のおかげかな?
もうじき1時間歩いてることになる。
【歩術】のレベルが1上がった。アーツは増えなかった。
時間はまだ23時だし行ける所までいこ……明かりが見える! 村かな? とりあえずダッシュ!
{チオフメ村}
お、ボロいけど看板がある。柵はいかにも村って感じで申し訳程度にあるな。ここなら滅ぼせそう。
「お、旅人か?」
「えぇ、そうです」
気さくなおっちゃんだな。黒髪黒目だしリアルにもいそうだ。
「王都に行くのか?こんな夜中にご苦労なこった」
「やっぱり宿とかないですかね?」
「いや、この時間ならまだ村長の家なら泊めてもらえると思うぜ」
「ではお願いしたいです」
「おうよ!ちょっと待っとけ、呼んでくる」
待ってる間にもう1人の衛兵から情報でも引き出すか。
「強そうな人ですね、彼。結構有名な方だったりするんですか?」
「ん? ああ、あいつは生まれも育ちもこの村だから有名ではないが、他の衛兵全員でかかってもいい勝負になるだろうさ」
「全員って何人いるんですか?」
「あいつ含めて4人だよ。昼と夜で2人ずつ交代でやってんだ。こんな辺鄙な村を攻める酔狂な奴なんていないよ。」
ペラペラ喋ってくれるな、こいつ。まぁ、戦力の把握が出来たのはよかった。
さっきの衛兵は不意打ちで殺るのが1番確実だな。他のはPSの訓練にちょうど良さげだな。
「おーい、待たせたなー!」
「お待たせ致しました、旅人の方。村長のクルップです。何も無い村ですが休息の場にしくれれば嬉しいです」
「いえ、泊めさせてくれるだけで十分です。ありがとうございます」
大分禿げてきてるお爺さんだ。なんでこんなに旅人が高待遇なのかは分からんが乗っておこう。
ザッ
足音?
振り返ると、銀髪ショートで俺のより少し薄い水色の瞳をした、大人びた雰囲気の割には小柄な少女がいた。プレイヤーカーソルもついてる。
「わたしも……泊まる」
「えぇ、1人増えるぐらい、問題ありませんよ」
村長太っ腹!
でも困った。プレイヤーがいるなら襲撃が露呈してしまう。とりあえず、別の日にしよう。
プレイヤーは生き返るからしゃあないな。
「では、着いてきてください」
「ここがわたくしの家です」
うん、ボロい家。知ってた。
「散策する」
「ボクはこのまま寝ますね」
「分かりました、散策と言っても何もございませんがごゆっくり。帰ってきましたら、2階の階段すぐ右の部屋をお使いください」
「ん……」
無口な子だな。
リビングに案内された。
「村長さん、もしかして一人暮らし?」
「えぇ、妻に先立たれまして。娘は王都に出稼ぎに行っております」
椅子が1つしかないのは、親子仲が良くないとかか? どうでもいいか。
……これはチャンスでは? 死体回収して用事をでっちあげればいいし。
では、やりましょー!
ゴキッ
いや、切れ味悪!首を切断しようとして折るってもう剣じゃないじゃん。さすが初心者の片手剣! なにでできてんだろこれ?
まぁ、それは置いといて、さっさと回収して部屋に行こう。
爆発音!? 外だけど結構近いぞ。
ドアを開けた先は、家が数軒燃えてる様子。
たまげた。俺が何かする前にこの村終わりそうなんだが。この村を滅ぼすのは俺だ! 犯人を一旦止めて、協力して落としたいな。
「あっ」
「……プレイヤーに……用はない……」
そう言いつつも、手をこちらにかざして警戒を解かない無口プレイヤー。この子がやったんだろう。
剣は抜かずに対話で何とかしよう。プレイヤーが襲う側なら、協力する余地もあるはずだ。
「そちらの目的は?」
「……ユニークスキル……解放……」
へえ?
「条件は?」
「……死体……200個……集める……」
「なら、協ry」
「何しやがる!!!!よくも俺の故郷を!!!!!!」
あ、強い衛兵さんだ。
「おい待て、相手は魔法使いだ。この距離じゃあしんどい。俺が引きつける。あとは任せたぞ! これでもくらえ!」
あ、もう1人の弱い方の衛兵さんだ。
火の魔法で焼かれた。その間を縫って強い方が決めにかかってる。これは厄介そうな衛兵さんを倒すチャンス!!
俺は無口プレイヤー向けて駆け出し、同時に接近していた衛兵さんの頭に剣を振り下ろした。
『レベルが上がりました』
「よしこれで強い奴は居ないし、殺りたい放題だ。改めて、ボクは、クロ。ボクのユニークスキル解放条件の1つが殺すことだから協力しない? もちろん死体はあげるよ。」
「…………わかった……名前……ネア」
「じゃあ、早速、君は村の柵を焼いて逃げれないようにしてくれ。中にいる住民はボクが殺る」
「……ん」
テトテト走っていった。カワイイ。
あと、予想よりあっさりと協力してくれたな。もっと疑った方がいいと思う。
さて、住民が集まるのは広場だろうし、俺も頑張るか。
いざ! 出陣!!
まだ序盤も序盤なので展開早め。