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ビストロ・タマナで夕食を  作者: 夏山 白
1/3

噂の店(1)

 玉名川線沿線に時々現れると噂の店がある。

カランッ

『いらっしゃいませ』

 初めて見つけたぞ。店内をみやると、まだ誰もいない。現在5時を回ったところだ。

『少し早かったですか?』

『いえ、ちょうどお客様が来られる少し前に開けましたので、大丈夫ですよ。席へどうぞ。』

『あぁ、ありがとうございます』

 僕がくる少し前か.....

 今日、大学から帰る時ここを通った。確かあの時は、ただの空き家だったはず。大学が終わったのが、13時だから少なくとも3時間半前後でここをすべて準備したことになるな。どう考えても、おかしい。この短時間で店支度が整うはず...が....

『メニューとお水をどうぞ』

『ありがとうございます。』

『お客様ははじめてのご来店ですね。SNSを見てきてくださったんですか?』

『はい、さっき更新されてたのを見てきました。』

『ありがとうございます。ぜひ写真を撮ってSNSにあげてみてくださいね。』

『はい..』

 水を飲むと柑橘系の香りが花開いた。店内にかかる名前の知らないジャズ調の音楽と、オレンジ色の明かりが店を包み込んで、落ち着いた統一感を出してた。 店の奥に飾られている小さい白い花も可愛らしく、葉っぱの青さと良いコントラストになっている。

『ご注文はお決まりですか?』

『あぁ、えっと』

メニューを開くと、白紙でこいつは何を言ってんだと思った。

『あの....白紙なんですけど』

『はい。お客様のお気持ちをお聞きしてもよろしいですか。』

『え...こ、困ってます』

『かしこまりました。』

そう言うと、店主はカウンターに戻って、裏に入った。

 一体なんなんだろうか。すると、揺れるはずもないコップの水面に波が立ち始めた。テーブルも、棚に並べられているお酒の瓶も揺れていない。空気の流れも感じるほどはない。なのになぜ。僕は見つめて動けなくなってしまった。しばらくして、水面の波は収まり、店主が裏から出てきた。これに怖くなり、SNSを開くが、このことにこれまで気づいてる人はいない。なんで、なんで.....

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