33 アンリの提案
以前のステータスにて、ポーチとその中身を表記していませんでしたので修正しました。
よろしくお願いします。
「愛の力……?」
「そう。僕の愛の力で彼女を救ってみせる! 百人の婚約者だって? ありえない。彼女を幸せにしたいんだ」
勇者はルカルラを見送った体勢のまま、月に向かって仁王立ちで語る。
アンリはもう一度オート戦闘に切り替え、システムがフェニスタを攻撃しないことを確認し、ステータス画面を開いた。
ステータス
名前:月華アンリ
種族:イモータル
所持金:3000
LV:821
HP:3278/3972
MP:2540/3098
筋力:734
知力:2801
俊敏:1415
体力:0
魔力:1100
アイテム
E:ヴィンテージドレス
E:布の靴
E:革のポーチ
HPポーション
MPポーション
消毒薬
閃光弾
万能鍵
妖精の雫
スキル
汎用スキル
戦士スキル
盗賊スキル
魔術師スキル
永続魔法
火魔法
水魔法
風魔法
雷魔法
「所持金が銀貨三枚で三千なのか。金貨だと一枚一万、銀貨は一枚一千っていう感じかな。通貨単位は何だろう。市場では聞かなかったように思う。
やっぱりレベルがちょっと下がったなあ」
「通貨単位は慣習としてありませんわよ。様々な通貨や宝石がダンジョンから産出して流通するので、王国通貨が基本ですが。大体その数え方で良いんじゃないかしら」
フェニスタのほうに目を向けると、なんと勇者のステータスも参照できるようになっている。アンリはざっと内容を確認し、セーブをしてウィンドウを消した。
名前:フェニスタ・モーヴ
種族:人間 (イモータル)
所持金:10000000
LV:50
HP:1000/1000
MP:200/200
筋力:50
知力:50
俊敏:50
体力:50
魔力:50
アイテム
(なし)
スキル
(なし)
魔法
(なし)
「私のステータスを変換して、勇者にガチャ十回分の金貨を渡した計算だね。金貨が一枚当たり一万とすると。
ねえ勇者、そっちのゲームにはフェニスタ自身のステータスとかある?」
「ガチャで出たキャラにはあるけど、僕にはないよ。
プレイヤーレベルはあるけどスタミナとスキルにしか影響しないし、僕が戦うゲームじゃないからなあ。
ちなみにレベル1だと思う。チュートリアル終わってないから」
「そっか、まずはチュートリアルを終わらさないとね。彼女のためにも」
フェニスタはアンリ達に背中を見せたまま紅月を眺めている。表情は全身モザイクなのでよく分からない。
「そうだね……彼女の名前は何だったんだろうか」
アンリは落ちている青光の刀、ルカルラの大鎌を慎重に回収し、壊れている勇者の所持品に近づいた。
アンリは武器を石畳にまとめて置く。
勇者の鎧やマント、鎧下の服に永続魔法の『修復』をかけ、アンリは勇者を襲った際に斬りつけた傷を綺麗に直した。頭陀袋や布製品に付着していた血液もさっぱり洗い流して乾かす。
「とにかく服を着てよ。彼女の名前を教える代わりに、冒険者ギルドに一緒に来てほしいんだ」
アンリがフェニスタに提案をした。




