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11 ランダハとの会話

 テラスに繋がる両開きの扉を閉めても、眩しい朝日と人々の喧騒が、細い隙間から部屋内に伝わってくる。

 アンリは顎に手を当て、考えながら口を開いた。


「ランダハ。頼みがあるのは分かったけど、私には貴方が敵か味方か分からない。貴方は中立だと言うけれど、こちらからは判断できない。できるなら、ちゃんとした契約を書面で交わしたいし、私が判断するための材料が欲しいと思ってる」


 猫と自分の実力に差があるのなら駆け引きは無駄と思い、アンリは素直に言った。

 ランダハは目を細めてアンリの言葉を聞き、ゆっくりと階下に降りる。ギイギイと螺旋状に緩くカーブしている古い木の階段を軋ませ、脚の不自由な猫が降りていくのをアンリは追う。階段の石壁の隙間からはうっすらと光がこぼれていた。


 階段のすぐ左手には黒く小さい暖炉があった。ちょっとしたスペースになっており、古い絨毯、アンティークのロッキングチェア、小さなチェストが置いてある。寒い日の憩いの空間だろうか。

 ランダハが暖炉の前に立ち止まり、かぎ状の尻尾をピンと立てると、暖炉の中にゴウッと火が付き、燃えだした。サビ猫は火を起こしたのを確認すると、暖炉の辺りの床にちょこんと置かれている籠に入った。


「先王は偉大な魔術師でね。僕はまだ赤ちゃんの頃、使い魔専用の陣で召喚されたんだ。それからずっと国のために尽くしてきた」


 ランダハが籠の中でぐるりと体勢を変える。籠が小さすぎて体のあちこちがはみ出ている。

 ランダハが鍵しっぽでロッキングチェアを指すので、アンリは言われた通りに浅く腰掛けた。先王の物だったのか、アンリには少し大きい。

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