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勇者パーティーの雑用係、世界唯一の便利屋稼業を営む  作者: 中川
第一章 金稼ぎはギャンブル以外で
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第2話 金稼ぎは資本ありき

「こちらの物件ですと3000万Gとなります」


「こっちは?」


「分譲ですが同じく3000万ですね」


それ以前に6階建てマンションの3回部分で商売とかありえない。


そして金もない。


「すみません、予算オーバーなので仕事探します。」


「ありがとうございました~。お仕事見つかるといいですね」


可愛い笑みで送り出してくれた店員さんは

後ろ振り向いたら疫病神は二度と来んなって塩でも撒いてそうで

振り向くことができなかった。


食事をするために金は減る。

住む場所確保は

我はこんな狭っ苦しいとこは無理だな

という我儘ドラゴンのせいで

一泊がとんでもなく高い。


「というわけで会議を行います」


「会議終了します」


勝手に終わらせてベッドに転がる我儘ドラゴン。


「勝手に終わらせないで。1週間分くらいで宿泊費用さえなくなるんだから」


「え・・・どうしてそんなことに」


エルが不思議に思うのも無理はない。


何と、3食昼寝付きを所望したハルキは

3食どころか5食を平らげ

今パーティーの全財産では1週間保つかどうか

とんでもない浪費だよ。


「食費とここのホテル代が高すぎて・・・


 寮付きバイトみたいなもの探さないと無理かも」


「我は働かんぞ?」


でしょうね。


「あたしにできることは何でも言ってよ。


 アルト君だけに苦労させないからね」


泣きそうになる。

実はエルの化粧品代もかなりの出費なんだけど

気持ちだけは受け取った。


「診療所はどうなっておる?」


口だけは協力的なハルキ。


「家借りる余裕もねーの」


「ふむ・・・夢を追うことは大事だから頑張れよ」


完全に他人事だった。



全力で空回りして死ぬほど疲れた会議から2日。


ダメ元で入った冒険者ギルドには多くの人が押し寄せていた。


「ですから討伐依頼ではありません。


 テイム依頼なのでテイマーの方しか受けられませんよ!」


受付嬢が大声を張り上げている。


テイム?


職業適性のないものには不可能と言われる技術。


モンスターテイマーがモンスターと心を通わせ


《起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている》


となるあれのことである。


そもそもテイマーは希少ジョブなので数も少ない。


一番目立つ場所にデカデカと貼られたクエスト依頼書は


【ペットを飼いならしてください】


と出ている。


この騒ぎは報酬金か。


こういう依頼ではありえない700万Gとなっていた。



俺はニートだからそもそもテイムとか無理だし


縁がないからしょうがないけどね。


さて、雑用依頼に絞って情報収集兼・・・


今日もないんかーい。


マジヤバイ


ガヤガヤとうるさいギルドから抜け出て


夕暮れの街を歩く。


八百屋、肉屋、魚屋、魔道具屋

雑貨屋、・・・占い屋?


全身黒のローブを頭から被り

水晶玉の奥から道行く人々を眺めている老婆

いやいや、金がないからって占いに頼っちゃだめだよね。


「そこのお兄さん、ちょっと待ちな!」


「金ならないので占いは無理です」


「そうじゃないよ。あんたニートだろ?」


そうであってもズバリでかい声で言うな!

不機嫌全開で近づく。


「どうやらあんただね。私の言葉を信じなくてもいい。


あんたに頼みがある。


これからこの先の2つ十字路を越えた先の小さな裏通りに入りな。


それだけでいいからね。それがあんたの転機にもなるだろうさ」


一方的に話すだけの老婆に興味はないけど


「わかった。それだけ約束しよう」


ニートと当てられたことだけが気になってそのくらいなら

時間もかからない。


老婆の仲間が待ち伏せて追い剥ぎとかでも蹴散らして牢獄行きにすればいい。


気軽な気持ちで言われた通り

って狭っ!


半身になって裏路地をカニ歩き。


そんなに広くない裏路地なのに

木箱や荷物がやたらと放置されている。


もう少しで抜けるみたいだな。


オレンジ色の光が広がっている狭い道の先は袋小路になっている。

建物が一つぽつんと鎮座しているだけだ。


帰るか。


「さっさと吐けば楽になれるんだよ!」


不穏な空気。建物の中から聞こえる。


「はぁ?聞こえねーんだよさっさと吐きやがれ!!」


うん。無視できないね。



すみませーん。失礼しますよ~


これで不法侵入回避


声かけて返事なかったからってことで



「どこに隠してやがる!まだ痛い目・・・


てめぇ何しれっと人の家に上がり込んでんだ」


頬に傷、山賊のような見た目

影でよく見えないけど奥にもうひとり誰かいる。

あれ?俺に話しかけてるの?


「ちょっと黙ってて、今探してるから」


凶悪犯罪者は似顔絵が配られていて

生死問わず捕まえると報酬がもらえる。

つまり、冒険者は自警団も兼任してるってことだね。


「なめてんのかコラ~」


え・・・嘘でしょ?


「おっさんの顔犯罪者リストにないんだけど?」


「あたりめぇだろボケ! 先にお前からだな・・・」


そういっておっさんはナイフ片手に突っ込んでくる。

正当防衛せいりーつ


バフをかけて対価はおっさんに支払わせる。

遅すぎて当たる気が全くしないナイフを避けて

懐でみぞおちパーンチ(手加減あり)


泡吹いて倒れるおっさん

こんな弱いのに犯罪者リストに載るわけ無いか。


さてと・・・


「大丈夫?ちょっとまってね?」


ヒール&トゥ(回復魔法&縛ってた縄を切る掛け声)

※決してドライビングテクではありません。


縄を切ると開放されたのはボーイッシュな女の子だった。


「ありがとう。私はナルヤ。モンスターテイマーをしている」


モンスターテイマーだった。


「俺はアルトニートをしている」


ドヤ~


「え?あんな強いのに・・・ごめん。


適性ですべて決まるわけじゃないって知ってたけど


強いね」


モンスターテイマーはモンスターを(略)



「従魔は?あんなおっさんだったら


弱い獣魔でも勝てるんじゃないの?」


「殺されたんだよ、そいつに」



視線を泡吹いてるおっさんに向ける。


憎しみがこもっていた。



「とりあえず、ホテルに泊まってるからそこで話聞かせてよ」


「ホテルって・・・・あんたそういうナンパなやつなのか?」


極大の誤解が炸裂した。


パーティーメンバーがいることを告げて

釈明も面倒だから暇だったら来てと伝えて大通りで別れた。

金についての転機は訪れなかった。

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