第1話 ハルキを養う金は空から降ってこない
勇者パーティーが凱旋するも王国は魔族から受けた被害の補填で
信じられないほど金欠らしい。
「つまり、俺達の報酬はなくなったってわけ」
俺の稼ぎを当てにするエルとハルキが盛大に溜息をついた。
「どうするのだ?我はもう働かぬぞ?」
3食昼寝付きを要求するハルキにはこの称号を贈りたい。
引きこもり
と
「でさ~、実際どうすんの?
魔王討伐で魔物素材があるって言っても
持ち運べないから邪魔って全部捨てちゃったじゃん?」
そう、今非常にピンチです。
魔法『バフ』
お金稼ぎにこれほど適さない魔法も珍しかった。
「エルは人助けでお金稼ぎできるからいいと思うけど
お金ない俺に本気でついてくるの?」
エルは以前野営のときに話していた通り
無一文で貧乏暮らし確定のニートである俺に
ついてくると言い出したことで心配になる。
「あたしはさ、お金は稼げると思うけど
職業適性で運命決められたくないんだ。
それに将来お嫁さんになって旦那様に尽くしたいしね」
聖者様は夢見がちな将来を語るけど
教会関係者が聞くと卒倒しそうだな。
俺はさ?
多少の回復魔法は使えるし、それで治療院開いて
格安料金で色んな人と触れ合って
何なら魔法を教えたりできればいいかな~とか漠然と考えてた。
でもさ・・・・無報酬とは思わないじゃん?
王国だよ?
「で?アルトよ、我の所望する3食昼寝付きパラダイスは
完成するのかの?」
いや、それどころか、衣食住が厳しい・・・。
「少しの間冒険者でもやって金稼がないとかも?
でも、魔王倒したから魔物減ってんだよね」
そう、魔物は魔王の魔力が漏れて自然発生する生き物と思われている。
魔王城からの帰りに遭遇したのは魔王城への行きに比べて10分の1程度
体感だけどね。
「我は頑張ったのだぞ?まだ働けというのか?
我は割と本気で働いたら負けだと思っているタイプだが?」
それは知らん。
「あたしはついてくって決めちゃったからさ。
ハルキと違って働くよ。
回復以外不器用で何もできないんだけど」
非常に助かることを言ってくれるが現実問題仕事がない。
「とりあえずさ?
多少は魔物素材(最上級素材なので換金率高い)で凌げる。
その間に御用聞きでもして便利屋でも始めよっか」
需要と供給。
一方が〇〇してほしい(需要)と考え
もう一方は〇〇できる(供給)だけする。
そのバランスが必要量に対し(供給)十分か不十分を考えて
不十分な場合俺たちが満たすことで仕事になるという考え。
商売や経済の根っこの部分。
だから供給不足のジャンルを探ろうと思うわけだ。
だから、少しの間協力してくれないかな?
という今後の方針説明をすると。
「そこでは我は3食昼寝付きにありつけるのか?」
相変わらずの怠け者ドラゴンは空気を破壊した。