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勇者パーティーの雑用係、世界唯一の便利屋稼業を営む  作者: 中川
序章 勇者パーティーが魔王を打倒するまで
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プロローグその2

「ねえ、あなたは魔王を倒したらどうするの?」


エルは野営の警戒中でも猫のようにそばに寄ってくる。


足を組んで座る俺の足の輪っかの中に前足・・・いや右手をつき顔を覗き込んでくる。


目を合わせて彼女は言葉を紡いでくるが好奇心旺盛な小動物のように可愛くて困る。



彼女の身長は150cm程しかないが

ウェーブのかかったきれいな金髪を腰まで伸ばしていて

戦闘中にまとめたポニーテールと違った魅力が目の前に迫る。


ただ、今は少し甘えん坊の妹モードだが。



「実は、ハルキにも聞かれて治療院で誰かの役に立とうかなって適当に言ったら


 3食昼寝付きで生活維持できるくらいに稼げみたいなこと言われて考え中なんだよね」



そういう解釈で合ってるはずだ。


「そっか~。ま、あたしはお金なくても・・・その・・・」



モゴモゴと言葉が消えていく。


二人で野営をすることは珍しくないが


二人で話していると唐突に声が小さくなることがある。



「エルはどうしたい?」



白いローブに杖という

これでもかというくらいに神官の彼女


詠唱無しで慈愛の心が発露すると勝手に回復魔法の効果が現れるほどの神官


教会所属の神職者にしては珍しいことに全ての自由を約束されているため

生き方も自由に選べる。


そうなった理由に俺も関わっているので無責任なこともできない状況だが



「え?あたしは・・・」



物語では勇者パーティーとして魔王を倒すと


聖女様、女神様と崇め奉られることの多い女性神官様


教会に束縛されて自由が効かないなんてよくある話だけど。



「そだそだ、そだよ~


 治療院やるなら治療師いなきゃ駄目だし


 あたしを雇ってよ。いいでしょ?


 ってか絶対そうするから!」



軽くキレ気味に言葉を切る。


これ以上ないほどの妙案とばかりに決定して有無を言わせない。


こうなっては王の命令でも平気で無視しかねないほど頑固さを発揮する。


だから、こう返す他に俺に取れる手はない。



「お、おう。よろしくね」



これも長旅の経験故


魔王を倒しても裏切りドラゴンと撲殺天使の名で呼ばれる有名人2名が

行動をともにすることになるらしい。


勇者パーティーが勇者以外全員集まるのか


未来のことに思いを馳せ、楽しそうな未来予想図が頭の中に描かれていく。


楽しい未来が待っている予感にワクワクする。


エルは体を丸めて硬い土の上で横になっていて

おそらくにやけて俺の方は見ていない。


いつも使ってぼろぼろになってるマントをそっと彼女にかけると警戒態勢に戻った。

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