婚約者
俺の名は、千羽 金次
異世界からの転生者だ。
前世で世界的にも人気だったゲームのキャラの能力だけを引き継いで、子供から転生した。
子供ながらに、知識と力を持っていたため、隠すのに苦労した。
持ち論、鍛えることも忘れなかった。
この世界では、成人、十二歳になると、教会で職業を貰う。
これは、自分が希望した職業に付けるのだが、一度決めてしまうと、次に決めるのにはお金がかかってしまう。さらに、適当でない職業になってしまうと、能力が一定の数値で止まってしまう。そのため、教会で適正検査を受けた後に、職業を選ぶことになっていた。
だが、俺は迷わず。錬金術師を選んだ。
前世のゲームで、職業は錬金術師、ある程度の魔法を使え、アイテムの作成も行える。
更には剣術も覚えることが出来る。
これ等の術やスキルを、苦労してあげれば本職と同じほどに成長できるという点では、非常に優れている。選ばれる職業としては一番人気だろう。
そう思ていた。
だが、現実では違った。
そもそも、モンスターたちと隣り合わせで暮らすこの世界では、悠長に強くなっている時間はない、
この世界では強さが生死に直結するために生まれた感覚だろ。故に、日本育ちで、ゲーム感覚で過ごしていた千羽、もといクロードには理解できなかった感覚である。
だが、自分の村が襲われ、自分も前線に立った時、確かに錬金術師なんて選ぶことに、非常に恐怖心を覚えた。
それでも、彼は錬金術師を選びたかった。彼が前世で残してきた祐逸の娯楽である努力の結晶なのだから。
それ故、教会でも、迷わず錬金術師、と告げたのだが、今の時代、錬金術師になる者がいなくなって久しいため、その職業が消えていた。
は?消えた?
って思ったけど、俺が『宣告の儀』で魔方陣に立つと、普通に選べた。
うん、協会側が認識してなかったみたい。
それで選んだはいいが、周りの反応が怖かった。
やれ何故そんな職業を選んだ、やれ無謀だ、やれ死にたいのか、やれ馬鹿だなどなど、好き勝手言ってくれた。
しかし、俺はめげなかったぞ。
しかし、現実とはそう甘くないようだ。
俺は、今まで技が発現しなかったのは、力を抑えてるからだと思っていたのだが、自分のえべるに合わない技は出せないようだ。
つまり、前世のレベルまで行かなければならないとのこと。
そのくせ収納は使えるのはいかがと思うが。
前世での装備は、生まれたときから収納の中に入ったままだ。
恐らくこれらも、レベルが上がらないと装備できないタイプなのだろう。
と言うことで、俺、めっちゃ頑張りました。
午前は村で魔法を教えている、老人の魔法使いに魔法士の子たちと一緒に習い、午後は鍛錬場に行き、剣術を習った。
そして夜は、錬金術師に必要な本を、アイテムボックスから取り出して読み、錬金術師について学ぶ、
途中で気が付いたのだが、石を大量に集めて剣いしたら、全てのレベルが上がった。
これで行けるじゃん!って思ったんだけど、それが出来たのは其れ一回きりだった、
なんだよ、畜生!
と言う感じで日々を過ごして三年。
俺は十五歳になった。
夜こっそりとモンスターを狩ったり、仕事を抜け出して魔法や剣術の鍛錬をし、錬金術の合成や錬成を続けた結果、三年で元のレベルまで戻ることが出来た。
まあ、皆には言っていないのだが。
おかけで、寝不足で目つきは悪くなり、隈は目立つようになった。
顔色はいつも蒼白で、ついたあだ名が、病気ゾンビ、詐欺師、などなど、とにかくいいあだ名がなかった。
更に悪いことに、右目だけ視力が少し衰えてきた。
一応砂と鉄で、モノクルを作っては見たが、一度も使っていない。
さて、そんな俺たちが道を分かつ時が来た。
そう、この村には合わせて30人ほどの十五歳がいるが、その三分の一は村を出て行く。
何故なら、村の畑はそんなにないからだ。畑を継げるのはせいぜい次男まで。三男以降はどうしても畑仕事ができない。ほかに、家畜を育てたりもできるが、俺はしない。
貰った職業が剣士や魔法士だったら、騎士団に行ったり、冒険者になったりする。
ここ、プロセイン帝国は大陸一の領土と強さを持つ、帝国である。
政治体系は、君主を皇帝に置き、その隣に議会があるどこかの王国の様な政治型だ。
この世界、レジスターと言うらしいのだが、この世界では魔法と言う物が存在する。と同時に、モンスターがはびこっている世界だ。文明レベルは中世だが、この帝国では辺境の村でも石畳の道が存在する。
そんな俺達が村を出るとき、その出来事は起きた。
今年十二歳になり、聖女として選ばれた年下の女の子に告られたのだ。
勿論、返答はイエスですよ。
そりゃ、前世含めて初の告白シーンですから。
と、喜んでいたのもつかの間、彼女は魔王を倒すために、勇者のパーティーメンバーとして国に招集されてしまった。
と言うことで、
「私、魔王を他王したら、必ず帰ってくるからね」
「ああ、待ってるよ、いつまでも」
「ふふっ、ありがとう」
と言う感じで別れた。
それが五年前
その間に俺は、彼女が見てみたいと言った伝説の花、『無限青薔薇』と呼ばれる、青い花を見つけ自家栽培に成功し、量産している。王都の一等地にも屋敷を設けた。
なんせ、前世も入れて俺の人生は今が最高峰なのだ。
ここで本気を出さずして、いつ出す?
と言う感じで、五年がたつ。
そして、今日、勇者一行が魔王を倒し、王都に帰ってきた。
凱旋を挙げたのだった。
そして、聖女エリナ、俺の彼女、婚約者が帰ってくる。
それを、俺は王都の屋敷で一人待つのだった。