プロローグ 目が覚めたら戦争中だった。
新作
続くかは気分次第
休日なのに騒がしい大通り。
もうすぐで夜が来るというのに、朝と大して変わらない人の量が、この日本という国を象徴している。
そんななか、パーカーのフードをかぶり、うつむいて歩いている一人の青年がいた。
彼の名は真田倭。
故郷は遠く離れた田舎町で、代々日本の伝統を引き継いできた家系だったが、そんなこと倭には関係ない。
あこがれの東京に上京し、会社員として働く、そんなつもりだった。
「ついてねぇ。今日はほんと。」
彼の着ているパーカーは一部が茶色く変色していた。
このパーカーは倭のお気に入りで、大事に着ていたが、すれ違いざまにコーヒーをかけられ、平謝りで逃げられて、今に至る。
帰路につく途中、倭はよくある路地裏にめが止まった。
「なにかあるのか?」
金が底をつきそうだった倭は、そこに財布でも落ちてればラッキーだと考え、路地裏に足を運んだ。
「どこにでもあるようなところだな。何もねぇし。」
大和は残念そうに近くの石を蹴り、元の大通りに戻ろうとした。
その時、何かが鳴った。
「ん?」
振り向くが、何もいない。
向きを戻し、再び大通りに行こうとすると、また音が鳴った。
どうやら、携帯から鳴っているようだ。
「んだよ、ったく。」
けだるそうに携帯を取り出し、通知を見ると、驚きのあまり倭は携帯を落とした。
「な・・・」
そこに書かれていたのは・・・・
【戸内村、ダム計画実行。反対運動押切り。】
戸内村というのは倭の故郷であった。
あまりの衝撃にしばらく立ちすくんでいたのが災いで、足音が近づいてくる。
その足音は倭の後ろで止まり、何かを振り上げる音とともに、倭の意識はそこで途切れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「っ・・・てえ・・・?」
まぶしい光で目を覚ました。
目を開けて最初に見た光景は、戦闘機がビルに突っ込みビルが倒壊している様だった。
「なんだこれ・・・どこだよ・・・」
上半身を起こし、自分の姿を確認しようとすると、一人の軍人がこちらに近づいてくる。
「おい、大丈夫か!ここは危険だ!ついてこい!」
「あ・・?え?あ、わかった・・・」
よくわからないままに、俺はその軍人について行った。