電話にて☆
「はーい★超ミラクルセクシーダイナマイツな課長ですが、どちら様なりか?」
「……番号通知機能で、誰だかは分かっていらっしゃるのでは無いのですか?」
「なんだ、ただのひがみんか。たまよちゃんからのセクシーなイタズラ電話とかなら面白かったのに」
「たまよはそんなことしません!……それよりも、先日頂いた服についてお話があるのですが、今お時間宜しいですか?」
「大丈夫よん★今、丁度繭子に叱られて、天井裏で拗ねてたところだったから」
「……いい歳して、何をなさってらっしゃるんですかあなたは……」
「えー、朝ご飯の時に繭子の目を盗んで、トマトに砂糖を山盛りにして、食べただけなりよ」
「流石に、そんな量を一気食べたら、叱られると思いますよ……それよりも、たまよの服の件ですが、何を考えているんですかあなたは」
「ふっふっふ★たまよちゃんに似合いそうな物を選んだから、色々と楽しむと良いなりよ★」
「似合う似合わないの問題では無くてですね、たまよが外出の時に着ようとしたりするんで、困ってるんですよ」
「じゃあ、そういう服は二人きりの時に着る物だ、とか言って手取り足取り、色々と教えてあげれば良いなり★」
「……人の声を真似て、妙な台詞を吐かないでください。ともかく、あまりたまよに変なことを吹き込まないでくださいよ」
「メンゴメンゴ★で、お話しはそれだけなのかな?」
「……昨日、月見野部長に色々とお話しいたしました」
「そうみたいだね。まあ、大体の事情は予想通りだったから、約束は守るよ。安心なさい」
「有り難うございます。まあ、こちらで出来る限りのことはしますが」
「……私に何かあったらたまよのことをお願いいたします、とか言うつもりかな?」
「……だから、人の声を真似ないでください」
「ふーん、否定はしないんだ。まあ、蠱毒なんて反動のやたら大きい呪を使おうとしてたくらいだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「……善処はしようと思いますが、浦元も執念だけは人より抜き出ているみたいですから、最悪の場合は……」
「それでも、殺生は禁止。そこまでは、君の仕事じゃ無いよ。まあ、君の呪いの反動は身体よりも精神の方を蝕むみたいだからね。殺生なんかした日には、命に別状まではなくても廃人状態。残りの人生は寝ても覚めても、全部悪夢の中、だろうね。一番軽い反動で。というか、つきみんにもその事で叱られたばかりでしょ!」
「……そうでしたね……」
「それに、そんな事になったらたまよちゃんが悲しむどころの騒ぎじゃ無いし、可愛い後輩が居なくなるのはアタシとしてもつまらないし」
「……今、しれっと酷いこと仰りませんでしたか?」
「えー?気のせいなりよ★ともかく当初の依頼通り、ひがみんは浦元に、命に別状が無い範囲で、うぎゃあ、と言わせることに専念するなり!……まあ、その後の事はアタシらに任せておきなさい」
「……かしこまりました」
「分かればよろしい!じゃあ、繭子が呼んでいるから切るなりよー」
「はい。有り難うございました」
「バイバイなり★」
天井裏で寝そべっていた人事課長は、そう言うとスマートフォンの終話アイコンをタップした。その下から、繭子の声が響いてくる。
「師匠!いい加減に降りてきてくだされ!また全身埃まみれになっても知りませぬよ!」
「大丈夫なりよー。今日はアフリカマイマイの格好してるから、汚れないなりー」
「それはそれで掃除が大変なので、やはり早く降りて来てくだされ!」
アフリカマイマイの格好をした人事課長は、はーい、とやる気のない返事をしてから、のそのそと天井裏の入り口に向かって行ったのだった。




