港町ハーレイ
《フラル‼︎見て祭具が!!》
祭壇の下を見ると、祭具がポッキリと根元から折れていて、輪っかのような物が砕け散っていた。
《どうしょう…昨日転んだ場所だ。あの時に壊しちゃったのかも…》
《私のせいだ…私が驚いてフラルを引っ張ったから…》
《リーフのせいじゃないよ…でもどうしょう。これ治るかな~?》
フラルは祭具を拾い上げた。
《うーん、どうだろう。湖のはずれに住んでいるドワーフのバルト爺なら修理出来ると思うけど》
《そうね、バルト爺なら修理出来るかも。行ってみましょう》
フラルとリーフはバルト爺の住む湖のはずれにある小屋に向かった。
フラルはバルト爺の小屋の扉を叩いた。
《バルト爺フラルとリーフだよ、開けて頂戴》
すると扉がパズルのように動き、扉の形になり開いた。もさもさの白髪のドワーフが入り口に佇んでいた。
《フラル…リーフいらっしゃい。珍しいのぅ、おまえさん達がここに来る何て、何かごようかぇ》
《わーん、バルト爺~》
《おぅおぅ2人とも何があったんじゃ、わしに話しておくれ》
2人はバルト爺に今までの経緯を話した。
《なる程困ったことじゃわい、この祭具はわしには修理は出来無いのじゃ。何故なら材料が無いからじゃ。この祭具の先についてる飾りは牛のモンスターである、ホルスバーサからしか獲得出来ないのじゃ》
《それじゃあその牛のモンスターを倒したら手に入るんだね》
《これこれ最後まで聞きなさい。ホルスバーサはこの大陸からは出現しないモンスターじゃ、人間族の大陸にしか居ないモンスターなのじゃ。彼らは洞窟の奥深くを住処にしてるそうじゃ》
《リーフ、私…行って来る。バルト爺その飾りを取って来たら祭具を修理してくれる?》
《あぁ構わんが、ホルスバーサはかなりの強敵じゃ。お前さん一人じゃ難しかろうて》
《フラルが行くなら私も一緒に行くよ。一人で行くなんて危険だよ》
《ありがとうリーフ、バルト爺。でも私は魔法戦士だから大丈夫。リーフはここにいて、バルト爺のお手伝いをして頂戴》
《ごめんねフラル。私が悪いのに…》
《大丈夫。なるべく早く帰って来るから、それまでバルト爺と祭具をつくる準備を進めていてね》
《うん…気をつけてねフラル》
《フラル…ハーレイ港から人間族の大陸に向かう船が出ているそうじゃ、気をつけて行くのじゃぞ》
《ありがとうバルト爺、リーフも元気で》
フラルはリーフやバルド爺に別れをつげて、ハーレイの港町に向かった。
ハーレイの港町についたフラルは、港で情報を集めた。
人間族の大陸に向かう船は、朝と昼の二便のみだった。
フラルは翌朝旅立つ事にして、宿屋をとり眠りについた。
翌朝宿屋のおじさんから得た情報では、人間族は貼り紙で冒険者を募り、パーティを組むことが分かった。
もしかしたら人間族の中には、協力してくれる人がいるかも知れない…。
彼らはエルフ族やドワーフ族を多種族と言い、得体の知れない者達だと恐れを抱いていた。
だけど中にはとても優しい人間族もいて、フラルは彼らに好感を持っていた。
思わず一人旅に出る事になったが、フラルはこれからおきる事に、不安以外の楽しみを感じていた。
明日は何が起こるんだろう…