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憂鬱探偵  作者: 文月一星
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衝撃

「貴重な情報を手にしたぞマモル!」

 彼の姿はまるで、餌を与えられた後のペットであった。彼は忘れているのだろうか。二人はここに潜入中であるということを。そして情報収集とは決して人に聞くということではなく、人々が話しているのに聞き耳を立てるということだということを。

「仲上さん」

あえてそれを咎めることはせず、仲上の話を聞くことにした。

「とりあえず、テレビ局の中をうろうろと歩いていたんだが、一つおもしろい噂を聞いたんだ」

「それは直接聞いた話ですか?」

「いや、噂話に聞き耳を立てていた」

通常の場面であったら論外な事ではあるが、今回は潜入なので大丈夫なのである。

「さっき俺は溝口光についての噂を聞いてしまったんだ。どうやら溝口と一緒に会議室に入っていった女性は星出真美という人物で溝口とは関りが多いらしい。」

「仲上さん。その情報いったいどこから?」

「女性スタッフ達の井戸端会議からだ」

一瞬長谷川は言葉を失った。その理由は仲上にもわかるようではあった。しかしながらそれについては触れてはいけないという微妙な心理が二人には感じ取れていた。仲上が話を続けた。

「そしてこうも言っていた。あの二人は同じ大学の出身で仲もいいんだともいいんだと一説には付き合っているという噂も流れているそうだ」

驚きに余るほどの情報だ。二人がもし付き合っているとするならば捜査を根本的に見直さなくてはならない。しかし長谷川には一つ気になることもあった。

「仲上さん、なぜ少し笑顔なんですか?それともそれは悲しんでいるんですか?」

仲上の口角は上がっているが同時に涙も出ている。表情に収拾がついていない。

「いやさ、俺にもわかんないんだよ」

おそらく、仲上の中で涙姫の親心のような部分と僕であるような部分が葛藤を起こし、その結果が顔に出ているのだろう。

「もういいです。こっちの収穫も言わせて頂きます」

続く

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