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憂鬱探偵  作者: 文月一星
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第二章 第五話 恋するアイドル part5

作戦会議

 薄汚れた場所。最初の印象はそうだった。いや、大げさな表現だろう。先ほどとても巨大で美しいテレビ局の表面を見てしまったがために、裏側は少し杜撰に感じてしまう。何事もそうだ。表側はとても綺麗に拵えてあるが、裏側はずさん。建物も、映画も、人でさえ。しかし彼女は違う。涙姫こと佐久良 涙。声はハスキーであり少しボーイッシュ。ハスキーであり、作られたわけではない声。そこに好感を持ってしまう。しかしながらなぜだろう。このような裏側に呼び出したのだろうか。そこはなぜなのだろうかと考えるしかない。といった仲上の困惑した表情を長谷川は仮面の裏側から横目に見る。長谷川は仲上と違って、大体予想はできていた。

「すいません、こんなところに呼び出しちゃって。でもやっぱり不安で―」

「なるほど、私たちの顔が割れてないとはいえ、事はアイドルの恋愛沙汰。細心の注意を払っておくのが最善だと思います」

とても真っ当な意見をとても真っ当ではない姿で語る長谷川にとても突っ込みを入れたかったがそれでは話が前に進まないと思い、仲上は言葉を喉奥に押し込んだ。

「それで、そのぉ、ここに来ていただいたのは」

「作戦会議ということですね。ここに連れてきたということは、そのマネージャーも協力者。大丈夫です。佐久良さんの今日のスケジュールであればしっかりと把握しておりますよね仲上さん?」

急に話を振られた仲上。長谷川はなぜこんなにも饒舌なんだろうか。人間嫌悪はどこに行った。そして人がほとんどいないというのになぜ般若の仮面を取らない。言いたいことがたくさんあったが、まずは長谷川の質問に確実に答えることが、一番の仕返しだと思って的確に答えた。

「現在午前十時十一分。午前十時四十分にこのテレビ局でのバライティー番組の打ち合わせを行い、十一時より収録開始、午後一時前後に終了し、ロケバスでの移動及び、昼食。午後一時四十五分より同テレビ局によるライブ中継。午後三時半前後に終了し、その後、午後四時半にテレビ局の会議室にて次回の四枚目のシングル発売記念のライブについての演出などについての打ち合わせ、その後、局内で、連続ドラマの撮影が午後八時半まで。ってとこだな」

「なるほど、それで例のディレクターはどのタイミングで現れるのですか?」

お姫様は目を丸くしたまま硬直していた。空かさずマネージャーがさせ姫を現実に引き戻す。それから事情を呑み込ませること、仲上の知識、ディレクターについての情報、長谷川の仮面について情報交換するのにかなりの時間を弄してしまった。

続く

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