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その時

「こ っ そ り」竜が身体中に魔力を巡らせると、竜の身体がすうっと見えなくなりました。

すると竜が止める間もなく、コリコリがとても驚いた様子で駆け戻って竜の足にぶつかってひっくり返ってしまいました。

そのまま仰向けであぶあぶしているコリコリを竜は笑いながら鼻先で起こしてやりました。

竜は消えたのでも透明になったのでもなく、周りの景色に似た模様になって見分け辛くなっていたのです。

コリコリは首を左右に何度も傾げ、ようやく納得して安心した様です。


あらためてふたりは 気配のする方にそうっと近づきました。

竜は木漏れ日に紛れて、コリコリは茂みに隠れて。


そこには人間の子どもがいました。

その子どもは一本の木を見上げて 顔をくしゃくしゃにして泣いていました。

木に登ろうとしたらしく、手には擦り傷ができています。


コリコリはその人間の子どもがとても悲しそうだったので、思わず茂みから顔を出してしまいました。

するとその人間の子どもも、コリコリに気づきとてもびっくりした顔になって、涙も止まっていました。


竜はコリコリに隠れる様に言おうとしましたがそれより速くコリコリは人間の子どもに近づきました。

すると人間の子どもは ぱあっと笑顔を見せてコリコリを抱きしめました。

急な事にコリコリはびっくりしてしまい、身体を固まらせ、しっぽも膨らませています。


人間の子どもはコリコリに何か言っています。コリコリは人間の言葉が分からないので、竜の方を見て助けを求めました。

竜は 人間の子どもがコリコリに話している事を聞いて、コリコリをさらって行こうとしているのかと焦り、思わず魔法を解いて姿を現してしまいました。


竜の姿を見た人間の子どもはとても驚いてコリコリを抱きしめたまま、腰を抜かしてしまいました。


竜は人間の子どもが自分を見て怯えているのを知ると少ししょんぼりしました。

竜は人間の子どもを驚かす気はまったくありませんでした。

でも自分はとても大きく、多分恐ろしい顔もしているのだろうと思いました。


すると、竜の様子を見たコリコリは 人間の子どもの腕の中からなんとか抜け出し、その顔にすりすりと身体を寄せて人間の子どもを落ち着かせました。

人間の子どもは竜とコリコリが仲良しで、襲いかかって来るわけではないのが分かりました。


竜も人間の子どもがコリコリをさらって行こうとしているのではないのが分かり一安心しました。


竜は先ほど人間の子どもがコリコリに話していた事を思い出しました。

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