表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

序章

 城下町の外れ。達筆な文字で『たいら』と書かれた暖簾を店先から下ろしながら、ふと女将は溜息をつく。

 彼女が店の常連である井助に自らの打ち明け話をするのは、もっとだいぶ先の話になる。

 6歳の頃に自ら遊女を志し、20歳のときに遊廓を飛び出して、もうすぐ30年。あのときの娘は、どうしているだろうか。

「なんて、私が言えたことじゃないわね」

 まるで誰かに語りかけているような、そんな口調だった。だが、店じまいしたあとのこの店には、客は誰もいない。

「捨てたのは、私の方なのに。どうして今更こんな気持ちになるのでしょうね」

 彼女の独り言に答えるように、庭の桜紅葉が夕日を受けて、ひらりと風にそよいだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ