電脳生命体戦争
「何が起こったっていうんだよ…」
目の前の現象について飲み込めているのか飲み込めていないのかは俺も分かっていなかったが、やっと声が出せるようになった。
「お前が私と共に戦う人間か ?」
「え… ?戦うってどういう ?えっと…、悪い、もっと情報をくれないか ?」
「戦う」という物騒な言葉を放った赤騎士の少女に対して、俺はまたもや混乱せざるを得なかった。よく見ると、左側の腰に刀を一本差している。
彼女は少し面倒くさそうな表情をしつつも、説明をしてくれた。
「お前にはこの電脳空間、第四領域での戦に参加してもらう。参加するといっても、お前の肉体が傷つくことは無い。お前の精神を私に憑依させればよい」
ハイペースで進む説明に、若干ついていけなくなりそうだった。
「要するに、死ぬことは無いからその戦争に参加しろ、と ?」
「ああ。申し訳無いとは思ってはいるが、上からの命令なのでな」
彼女は本当に申し訳無くなっているのか疑いたくなるほど無表情だ。
「でも…、憑依するってどうやって… ?」
「心配は要らない。目を閉じて、私の姿を思い描け。そうすれば、後は私がこちら側に引き込む。さあ、やってみろ」
俺はもう、騙されたつもりで固く目を閉じた。そして緋色のその少女を思い浮かべる。
ーー耳元で、もう目を開けても良いという指示が出る。恐る恐る目を開けると、先程パソコンに映っていた宝石の空間と同じ景色が広がっていた。
「この空間でお前は私の姿を使って戦うことになる。必要があれば、左耳のイヤホンからお前に伝える」
自分の体を見ると、確かにファルカになっている。しかし、身体と精神とがマッチングしない感覚に違和感を覚える。
「うぅ……、気持ち悪りぃ…」
「最初の内はそうかもしれんが、段々慣れてくるから大丈夫だ。元の世界に帰るには帰りたいと念じるだけでよい。簡単なシステムになっている」
「待ってぇ……」
イヤホンの音声からでも、彼女の無表情な感じと武骨さが感じられる。
ーー俺の部屋に戻って来てもまだ目眩がする。自分の掌を見てやっと安堵感を取り戻した。
「それにしても精神薄弱だな…。私も不安になってきたぞ…」
ほんとだよ…。この調子で大丈夫なのか、俺。