第2.5話
私たちは
俺たちは
もう死ぬしかないんだ。
1年前
秋風が涼しく町を駆け巡るそんな季節
男と女の死へのカウントダウンが始まった季節
お互い家の事情も何も知らずただお互いに惹かれあい恋し愛し合った
家の事情を知ったのは付き合い始めて半年がたったころだった
まさに現代版ロミオとジュリエット
互いの家は日本を代表する企業
しかも互いの親は知り合い同士で犬猿の仲
それは知った男と女は駆け落ちをするがすぐに見つかってしまう
何をしても無駄だと知った男と女は互いに思う
死んであの世で結ばれよう
男と女の愛はそれほどにまで重く深いものになっていた
そして死ぬときは一緒
そんな2人の思いは心中と言う自殺方法を選ばせその方法をどうするか自殺系サイトを見ていて偶然“コロシヤ”を知ることになり訪れることとなる
2人が出会って1年
愛は男と女を死へと導く一番の殺人道具となった
「今日だな」
「そうだね」
男と女は少年に指定された場所に来ていた
町はずれの奥にある森の奥にある教会跡
ここで男と女は死ぬ
「お前はちゃんと来るように言ったか?」
「もちろん。そんなあなたは?」
「呼んだよ」
男と女はとても穏やかな表情をしていた
死ぬことで幸せを掴める
そう思っているのだろう
実際はそうでないことを知りつつも
そんな男と女の後ろから少年と女性と商人がやってくる
「お久しぶりです」
「今日は前にいなかった人もいるんですね」
「あぁ。彼は協力者ですよ」
そういって商人は少年の言葉の後にぺこり。とかわいらしくお辞儀をする
「そうだ。これ今のうちに渡しますね」
そう言って少年が男と女に手渡したのは拳銃だった
「ありがとうございます」
「じゃあ2人には今日の衣装に着替えてもらいますか」
「はい」
その言葉を合図に女性と商人は男と女を教会跡の中へと連れいていく
教会跡前に誰に聞かれることのない声で言う
「さぁ。はじめようか」