第2.5話
「よし。仕事をはじめるか」
「らじゃ」
少年と女性はそう言ってビルの中に入って行った
夕日となった太陽が完全に沈み月が町を照らす時間。
それが自殺プランの開始の合図
そんな自殺の舞台となる町は月明かりではなく色鮮やかなライトによって照らされ昼よりも明るくなっている
町には様々な人たちが行きかって賑わいを魅せていた
そんな町のど真ん中にある高層ビル
首都近郊ではよく見かける程度の高さだが首都近郊を離れてしまうとこの高さのビルを見るのは難しくなる
そんなビルはスーツの男性の今は倒産しあった形跡もなくなった元職場が入っていたビル
ビルの入り口には各階にある会社名が明記された看板があり6階の案内は黒く塗りつぶされていた
おそらくはそこが元職場があったところ
「なんだよこれ」
男性はそのビルの入り口にいた
その看板を目にした男性は怒ることもなく悲しむこともなくただただ笑っていた
「せめてよ。シール剥がすとかにしろよ」
看板は会社名が書かれたシールを張ってどこにどの会社があるのかを案内していた
そんな看板を見て男性はそれを見て顔を右手で覆うように隠し左手を鳥が翼を広げるようにのばしていた
「ダッセーな俺の人生。こんな会社なんかのためにあんな必死こいてやってたのかよ。家族だって会社を優先したらいなくなるしよ。あーダッセーダッセー!」
男性は笑いながら泣いていた
そしてそんな男性は自分自身に言い聞かせる
「でもよ。そんな人生でもサイテーでサイコーなダッセー人生だったろ。俺さんよ」
そう言って顔を覆っていた右手を左手と同じように翼のように広げ泣き笑いした表情を空に見せつける
それを行き交う人々は奇怪な目で見る
そんな人々を無視して男性はただただしゃべることもなく泣きながら笑う
それからしばらくはそのまま無言でいたが何かを終えたかのように男性はビルへと入って行く。
「さぁ。最後ぐらい俺を輝かせてくれ」