第2話
女大生が“コロシヤ”を訪れてから2日が過ぎていた
「うっし。やりますか」
「だねー」
少年と女性と商人がなぜかカラフルな作業服に着替えていた
「で、なんで僕は呼び出されたのかなぁ?」
「そりゃー決まってるだろ。作業が間に合わないから」
今、少年と女性と商人がいるのはとある高層ビルの最上階
階数にして30階以上はある
首都郊外にしては大きすぎるビルだ
「そうさらっと言われてもねぇ」
「ここまで来て渋るなよ商人。作業服まで来ちゃってるんだから」
「えへへ~。似合うでしょ」
商人はオレンジ色の作業服を着てその場でくるっと回ってみせる
まるでこの世の人間とは思えないほどの可愛さが商人と一緒に回る
何度でも言おう
商人は戸籍上は男だ
ただし自称だが
「似合うけど。今はそんな話は」
「この作業着くれたら手伝うよ」
「そんなんでいいのか?」
商人が着ていた作業着には“Ilovefactory”
日本語に訳せば私は工場が好きと書かれたワッペンが胸のあたりに張ってあった
正直外人がその作業着を見たら笑ってしまうだろうってぐらいのレベルだった
「これがいいなぁ」
「わかったよ。それあげるから手伝ってくれ」
「うん!」
商人がこれまたかわいく返事をする
もうちなみに黙々と会話にも入らずに作業をしている女性の作業服の色はクロとピンクの2色で少年の作業服の色は水色だった
「ちょっ。お前」
「え!?なに」
少年は女性の近くに行くとなぜか少し驚いていた
女性は急に驚かれたので少年以上に驚く
「その穴大きくね?」
「あ、確かに」
その穴は半径2cmほどの大きさだった
本来少年たちが作ろうとしていた穴の大きさは直径で2cmなので丁度倍に当たる
「ま、何とかなるか」
「だね」
「ねぇ。これってなんで穴作ってるの?」
「そりゃこれから必要になるからだよ」
ここで一度少年たちのやる作業の一連の流れを確認しよう
まずは直径2cmの穴を複数作ります
そして次に作った穴にチューブ的なものを穴をふさぐように置きます
この時にちゃんと固定します
そして最終段階
下の階に一旦降りて下の階からすれば天井にある穴を掃除機を小さくし吸引力を無駄にあげた近未来的な本体のみの機械を4つほど用意しその機械からでている意味もなく長いチューブを天井のあなを多きかぶせるようにしてくっつけます
そしてまた上に上がり今度は大型のガラスを取り付けます
そして完成
最期にまた下に降りたあと無駄にスペックの高い機械をちゃんと動くか確かめれば作業が終了
因みに運び屋がまた別口でこの依頼関連の仕事をしているがそれはまた後で
「どうだ?わかったか」
「わかったけど。なんあメンドクサイね」
「あぁ。それ言わないで」
少年はため息をつきながら言う
「さてと取り掛かりますか」
「あ、ちょっと待って」
「なんだ?」
「穴を作るのは床だけでいいんだよね?」
「おん」
少年と女性と商人はただひたすらに電動ドリルで穴をあけ続ける
補足だがこのビルの最上階とその下の階はフロアごと“コロシヤ”が買ったのでだれも来ないしいない
そしてその資金源は自前のモノらしいが真実はわからない
「それにしても地味な作業だねぇ」
商人がそう呟く
なぜだろうか
商人が日に日にかわいくなっていっているような気がする
気のせいだろうか?
穴を作り続けて約30分が経ちやっと穴掘りが終わった
「ふぅ。もう疲れたよ」
「私もちかれた~」
女性が普段とは全くの別キャラになるほど穴掘り作業は酷だったらしい
そんな2人に比べ少年は涼しい顔でいる
「あり?そんなに疲れたのか」
「なんでそんなに疲れてないのぉ」
「そうだ!そうだ!」
女性が完全に完全にキャラ崩壊をし普段ぜったにやらないガヤをやっているほどに疲れているようだ
本当になぜに少年は汗ひとつかかずに涼しい顔でいられるのだろうか
「よし。下に行くぞ」
「え~ちょっと待ってぇ」
「そうだ!そうだ!」
「なんだよ?」
「休憩しようよぉ」
「そうだ!そうだ!」
少年は商人と女性を見た後に腕時計を見る
「よし下に行こう。時間がもうない」
「この夜はドМのくせして昼はドS野郎がぁ」
「そうだ!そうなの!?」
女性のガヤが乱れる
「俺はいたってノーマルだ。勝手に属性つけんな」
「ウソだぁ」
「そんなこと言っている暇があるんだったら下に行くぞ」
もはや女性と商人には少年に対して抗う気力すらなく黙って下に降りる
下の部屋に着くと天井が見事に穴だらけだった
「うわぁ。デザイナーズルームみたぁい」
「うまいこと言っているようだが上手くないぞ。これはただの不良物件だ」
商人は天井を見て少し驚いている
女性は部屋に着く早々に部屋のかどに座っていた
「あれ?そういえば無駄にスペックの高い小型機械は?」
「あるじゃん」
「・・・あれ?」
「うん」
そこにあったのはダ○ソンの小型掃除機よりもはるかに小さいスマートフォン程度の大きさの機械が4つあった
「これでやるの?」
「うん」
「本気?」
「本気だよ」
商人が結構驚いている
でも実際、今回の自殺方法を知っている身としては驚いて当然だろう
今回の自殺方法は“無酸素自殺”
これは文字通りの意味で部屋の空気をなくし真空状態にする
つまりは窒息死させるのだ
それをスマートフォン程度の大きさの機械4つでやってのけようと言うのだ
驚かない方がおかしい
そしてその機械からキモい程に長いチューブが出ていた
「きもっ」
思わず商人も言ってしまうほどにキモいのだ
「よし。これは天井の穴の部分に多いかぶせるようにつけるぞ」
「え?ヤダ」
商人は思わず本音を包み隠さずに言ってしまう
「そう言わずに。な?」
「・・・」
「なっ?」
「・・・」
思わず商人は黙ってしまう
実をいえば死ぬほどに嫌なのだ
疲れて体は動かしたくないし早くシャワー浴びて寝たいのだ
この場でやる気があるのは少年のみ
女性はすでにリタイヤ同然
残すは少年と商人のみの現状だった
「よし。やろうか」
「・・・はい」
逃げられないと悟ったのだろう商人は嫌々作業を始めた
それから2時間後
無駄にスペックの高い機械の動作確認も終了した
「はぁ。疲れた」
少年はそう言いつつもなぜだか爽やかな笑顔がこぼれている
その横で商人と女性がいまだに疲れていた
特に商人の疲れ具合がヤバかった
睡眠不足でもないのに目元のクマができて腰が猫背のようになっていたりととにかくヤバかった
「よし!帰ろう」
「うん。それがいいと思うなぁ」
商人が最後の力を振り絞って笑顔でそう答える