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コロシヤ-あなたの自殺手伝います-  作者: asit
死を持って復讐を-無酸素自殺-
18/74

第1話

とあるビル群の奥にある雑貨ビルの4階にあるドア

そのドアには“コロシヤ”と書かれた紙が乱雑に貼ってある

そのドアを開けて中に入ると少年と女性がいる。

彼らはここ“コロシヤ”の従業員

たった2人だけの従業員


「はぁ。たまにはいいな」


「最近はなんか仕事が多かったからねぇ」


少年と女性は部屋の中でまったりと過ごしていた

久しぶりと言っていいほどの緩い時間

今日本は他国から“Suicide is Japan(自殺日本)”と称されるほどに自殺者が他国と比べものにならないほどに多く急激に増えている

少年がつけているテレビにはニュースの特集としてまさにそれが流れていた


「ま、こんなご時世だからこの商売が儲かるんだけどな。好都合だ」


「そんなこと言ったらだめでしょ。本来人の命は簡単に失っちゃいけないんだから」


「誰も簡単と入ってないだろ。自殺者がそこまでに堕ちるまでに経験したことや考えてきたことは常人には理解できないし理解しようともせず自殺を逃げと逃げと言うクソみたいな評論家だっているじゃねぇか。俺はそっちの方がだめなことだと思うけどな」


「そんなこと言って」


少年と女性が自分の価値観を言い合っているとドアからノック音が聞こえてきた


「え。やだよ。俺休みたいよ」


「仕事は休みたいときに休めるもんじゃないでしょ。将来仕事がまばらになった時のために今ちゃんとしないと」


女性のはなつ正論に何も言い返すことができずに少年は女性がドアを開けることを止めることができなかった


「いらっしゃい」


女性がドアを開けるとそこにいたのはリクルート服姿の大学生の女だった


「あのここは自殺方法を教えてくれるところで間違いありませんか!」


「自殺方法というよりはあなたの自殺を手伝うかな」


「手伝う?」


女性と大学生の女がお互いに首をかしげたので少年が後ろから仕方なく言ってやるといった雰囲気を醸し出しながら


「お前の自殺を考え、悔いのないように死なせるってことだよ」


突然後ろから聞こえてきた声に女大生がビクッと体を震わせる


「あ、びっくりしないでー。後ろにちっこい奴がいるだけだから」


「誰がちっこいって」


後ろから今度は怒りを口調にのせながら言う少年


「あーはいはい。ごめんなさい」


女性が心の全くこもっていない返事をすると同時に少年の方へと振り返る

そして女大生が少年を

少年が女大生を

見ることとなった


「お前が今回の客か」


「ど、どうも」


数秒間だけ間があり時間が止まったようだったが少年が


「まずは部屋の中に入れよ」


そう言って間を破る


「あ、はい」


女大生は少年の言葉に従うように中に入って行った


「そこのソファーに座れ」


女大生はいわれるがままにソファーに座る


「で、お前はなんで自殺したいんだ?」


「え?えっと」


急に話し出す少年についていけず思わず言葉が詰まる女大生


「お前は自殺したいがためにここに来たんだろ?だったら早く話せよ」


「ごめんね。あなたのペースで話していいからね」


女性が少年の頭をゴス。となるようなきれいな殴りをみせる


「イッた!なにしたって言うんだよ」


「お客さんを置いてけぼりにして何を言うか」


「こっちは休めると思って休めなかったからイラついてんのによ」


「仕事は仕事」


女性が謎のオーラをだし少年を従わせる

“コロシヤ”の実際的なまとめ役は2人しかいないが少年ではなくて女性なのかもしれない


「ふふっ」


女大生が口に手をあて上品に笑う


「笑ったー」


「あ、すみません」


「いいっていいって」


女大生が勢いよく謝る姿を見て女性があわてて止める


「リラックスしたってことでいいかな」


「はい。おかげさまで」


女大生が先程までとは違い自然な表情を浮かべている


「じゃあ。話してもらおうか」


「はい」


女大生はゆっくりと話しだす


女大生は就活生だった

いくつもの企業に応募しそのほとんどからお祈りメールが届く日々

書類審査が通ったとしても面接で落とされる

そんな日々をずっと過ごしていた

周りはなぜか受かっていき浮れていた者ばかりで

女大生に声をかけたとしても「受かるって」「頑張れ」「大丈夫」とこちらの気持ちなど一切考えない決まりきった言葉ばかり

その言葉を受けとる側の人間としてはそれがどんなに呪いたく憎しみが湧いて出てくる言葉か言葉をかける側は知らない

それからしばらくしてついに女大生も就職先が決まった

その日の夜は仲間と思いっきり騒いだ

努力は報われる

その言葉をこの日以上に身にしみたことはないだろう

女大生はその夜は涙が止まらなかった

その次の日

女大生は気分よく目覚めてスマホを見てみると1通のメールが入っていた

メールを開き中を見た瞬間女大生の表情が凍り付いた


<こちらの手違いであなたに合格通知メールがいってしまいました。今回の件につきましては深く陳謝します。あなたがどこか別の場所でご活躍なされることをお祈りいたします>


「え・・・。な」


女大生は絶望と同時に怒りがあふれ出た

その日女大生はその会社に行った


「社長を出してください!今すぐに」


「そう言われましても」


「いいから早く出せよ!」


女大生は理性が壊れていたのかもしれない

普段からは想像もできないほどに行動が粗暴になっていた

オペレーターはそんな女大生を前にあたふたとあわてることしかできていなかった

そんな時会社の中から数人の人間が出てきた


「いったい何の騒ぎだ?」


「あ、社長」


オペレーターも含めたその場全員が一堂に静まった

中から出てきたのは初老の男性とそれを取り巻く幹部たちの姿だった


「君だね。一体なんなんだ」


「アンタが社長か」


「あぁ、そうだが」


「おい!このメールなんだよ」


女大生は社長に近づきスマホ画面に出したメールを見せる


「あぁ。これか」


「これだと」


「わたしの息子がどうしてもこの会社に入りたいってうるさくてな。新入社員候補から一人消した。それが君だったのか」


「なんでそんなに冷静でいられんだよ」


「たかが一人の一般人に心動かせれてどうする」


「ふざけんなよ」


「それは君の方だよ。金も地位もない雇われる側の人間が雇う側の人間に文句を言うとは。犯罪だぞ」


「お前。頭大丈夫かよ」


女大生は思わず言ってはいけないことを言ってしまった


「気分が悪い。そいつをここから出せ」


社長はその言葉に過敏に反応しその場から消えて行った

女大生は会社の社員に押さえつけられ外に出されてしまった



「ってことがありまして」


「え?ちょっと待って。いろいろツッコミたいことがあるんだけど」


「はい?」


「アンタの本性って絶対に」


「なので私はこの命を持ってあいつに復讐したい」


「だからあんたの本性って」


少年は聞き返したが女大生は聞く耳を持たなかった

そして少年がまた聞き返そうとすると女大生が不気味に笑ったので聞き返せなかった


「わ、わかった。あんな他はとにかくその社長さんに復習がてら自殺をするってことだな」


「はい」


「オッケー。なら久しぶりにアレをやるかな」


「アレかー」


少年の言葉に女性が反応し懐かしそうに天井を見る


「前にもアンタみたいなやつがここに来たことがあってな。そん時に思い付いた面白い自殺方法だ」


「じゃあ早速」


「いや。それには結構時間かかってな」


「どれぐらいですか?」


「4日ってとこかな」


少年の言葉に女大生が少し悩む

しかしすぐに答える


「わかりました」


「じゃ、余裕をもって5日後にここに来てくれ」


「はい」


女大生はそう言って出て行った

少年はふーっと手を伸ばす


「さてと。久しぶりにやりますか」


「あれ結構大変だよね」


「けど仕事は仕事だろ?」


「まぁね」


「よーし。“コロシヤ”オリジナル自殺の開始だ」

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