プロローグ
例えばこの世界が普通じゃなかったら僕は世界から愛され適応できたのかもしれない。
けどそんなことは妄想の中のことってぐらいわかっていてどんなに異世界だろうと現実は僕に牙を向け拒む。
逃げ場のないこの世界に希望なんてない。
妄想世界にさえ。
あぁ。どうかボクに希望をください。
夕日を背に向けるように駅のホームの端で大きなヘッドフォンをしながら目を閉じ静かに涙を流す少年はホームから線路に降りる。
祝福を
少年は小さく呟き後ろから来る電車の急ブレーキ音とホーム上にいる野次馬たちの偽善の混じった助けの声を聞きながら少年は電車に・・・。
「計算ミスだったか」
とあるビル群の奥にある雑貨ビルの4階のドアに“コロシヤ”とカタカナで書かれた紙をどうでもいいように張り付けているそのドアを開け中に入るとその少年はいた。
大きなヘッドフォンが特徴的なその少年は部屋のど真ん中にある比較的大きなソファーの上に横になっていた
部屋の広さはだいたい学校の教室2クラス分といったところでそんなに広いとはお世辞でも言えない
「なっ!?なんでまたソファーで寝てんの」
どこからか急にあらわれた背の高い女性は少年を怒ってみせた
口調は男らしくモデル体型その女性はとにかく綺麗だった
「そこにソファーがあったからに決まってじゃん」
「小学生かおのれは!」
この2人をまったく知らない人が見たら完全に姉弟か親子に見えるのだけども全くもって他人同士
血もつながってなければそれぞれの親も違う
なのでよくケンカする
「いいじゃん別に。仕事してないわけじゃないんだから」
「くっ!痛いところを」
少年は勝ち誇った顔をする。
女性は唇をかみしめるように悔しがる。
それが2人の日常風景。
そしてもう一つの日常が彼らにやってくる。
「・・・あのー」
静かに部屋のドアが開く。
そこには女子高生と思わしき一人の少女が怯えながら立っていた
「お、お客さん?」
「久しぶりだね」
2人のテンションは一気に上がりさっきまでのケンカもすぐに忘れてドアに立っている少女へと興味が移る。
そんな2人とは真逆に少女は余計に怯える。
「おっとスマンスマン。どうも最近はお客様が来なかったからねつい」
そんな少年の言葉を無視して少女は質問をする
「・・・こ、ここって本当に」
「正解!多分キミが思っている通りのお店だよ」
「じゃあ!」
少女は表情を明るくさせる。
少女の笑った顔はとてもかわいらしかった
そして少年はそんな少女を前に不敵に笑う
「あぁ。キミの自殺手伝うよ。だってそれがボクの仕事だからね」