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おっぱい大好き救世主・友達大好き御曹司

 まず、自称・正義超人たる真白虎丸は、朝霧桜夜に好意を持っていた。

 なぜなら彼はそもそもおっぱい獣人であり、桜夜はそんな異星人の好物である超級のそれを備えた少女であった。思考や行動原理がシンプルな彼にとって、貧乳は悪であり、爆乳は神だったのだ。

 だからこそ、



「大!惨!状!サイクロォオオオオオン、ジャスティイイイイイイイイス!」

「白虎!?どうして!?」



 警察署の外壁を、超圧縮・解放した空気の塊と自慢の鉄拳で打ち破り、感染者の中でも群を抜いて高い〔変心型(トランスタイプ)〕特有の圧倒的な身体能力で内側にある中庭まで轟風を届かせた少年がここにいるのは必然だった。

 エメラルドのラインが奔る白い甲殻装甲と、緑のロングマフラーをはためかせた白虎が自らがぶちあけた大穴の奥から現れ、桜色の髪の少女と、衝撃に吹き飛んだ時雨を見つけて叫ぶ。



「抜け駆けは許さねぇぜ!?時雨!?」



 ビシリと空気を裂いて、時雨に突き付けれられた鋭い爪の生えた白虎の指は、彼の桜夜への想いと、桜夜の時雨への想いを知った上での高らかな宣言。

 そして、



「だからって、俺達の後をストーキングしてたのはどうかと思うぜ?」



 上半身を起こした時雨は、白虎がここにいる理由を看破している。おそらくは昨晩、桜夜が凛名のために時雨宅を訪問することも、その後出かけることも彼は知っていたのだ。

 しかし、



「どう、いうことだ!?この貴様、何者かぁ!?」



 白虎と時雨、大穴を挟んださらに奥。晴れていく灰色の粉塵の中に立ち上がる、黒い影。絶薙大和は、状況を理解出来ずにただ怒りの咆哮を上げる。黒の瞳は、轟風の直撃を受けて中庭に倒れた赤黒い巨人、背後で中型自動拳銃を構えて狼狽える熊切を確認し、裏切りが発覚した時雨に注意しつつ銀色の少女の姿を探す。

 すると、



「う~ん、僕らはただの友達なんですけどね?」



 白虎の開けた大穴、瓦礫だらけの不安定な足場を苦労して通り抜けた小柄な黄色の影が、大和の問いに応える。

 だから、



「今度はどんな手を使った?」



 時雨は黄砂色の髪から埃を落とす黒のパーカー姿にそう聞いて、



「ああ、だって、時雨くんと桜夜さんの携帯端末は、僕が渡した航羽の製品でしょ?さすがに白虎くんと追跡中、しかも警察署内で〔同時に通信が遮断されれば〕、異常だと思うよ?」



 〔友人への過剰な友情〕を持つ少年、航羽雷音はしれっと自分たちがストーカーである事実を認めた。

 さらには、



「でも、やっぱり君達の携帯に、自動で現在位置を僕に強制的に知らせる隠れ機能を付けておいてよかったよ。時雨くん探偵だから、尾行をまくのはお手のモノだし、でもおかげで時雨くんと桜夜さんの精確な位置を把握して、白虎くんの必殺技が撃てたんだよね」

「お前、ホント無駄な腐れ知恵、使いすぎだ。屋上にいる狙撃手が外の人間を注意していたら、お前らだってヤバかったんだぞ?」

「結果オーライさ。それに、僕の電子的な追跡をまこうっていう時雨くんが一番甘いよ。そもそも携帯以外にも、今日の時雨くんの行動を把握する手段はあるんだからね?」



 時雨を呆れさせる、驚愕の事実を雷音はさらりと述べる。さらには奥の手までチラつかせて、時雨は左手で頭を抱えるしかない。

 そして、そんな風に状況に翻弄されていたからこそ、



「・・・ん?」



 時雨は、身体を支えるために背後に伸ばした自分の右手が掴むそれ、



「ふ、ふ・・・」



 足元の煙が晴れ、自分の横に倒れていた銀色の翼、なぜだか顔が真っ赤の少女の姿に、



「おお、凛、名・・・?」

「ふ、ひぅ・・・」



 その左乳を鷲掴みにしていた自分に、



「ふぅひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

「うわすまぬんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?」



 気づくのが遅れた。


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