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時間位置変更攻撃

「るおおおおおおおおあああああああああああああああああああああ!」



 最も早く事態に気づいた時雨の厳しい訓練を受けた身体は、転がってきた手榴弾を反射的に廊下の向こう、窓に向かって蹴り返している。時雨の強烈な蹴撃によって小さなパイナップルのような形状をした濃緑色の危険物が直線で飛び、窓ガラスを打ち破ってロの字型をした警察署の中庭に落ちていく。

 瞬間、



 バボ!



 中庭の上方から、真紅の閃光。迸った赤い光線が、中庭の芝生でバウンドした手榴弾に命中する。

 つまり、



 ドッ!



「く、お!?」



 警察署の屋上に潜んでいたらしい、全獅の砲撃を受けても生きていたことが確定した狙撃手の生んだ爆風を、時雨は両手を掲げながら壁に隠れてやり過ごす。次の瞬間、ガラス片と熱風が廊下を奔って倉庫内にまで届き、時雨の背後で超反応で長机を盾にして皆を守った大和が叫ぶ。



「〔時間位置変更攻撃(タイムシフトアタック)〕だ!」

「何!?」

「それぞれの実働員は、決定された時間に決定された行動をとる!その際、小隊ごとに必ず接点があるようにしておき、コンタクトが取れない場合それを異常として感知する戦術だ!」

「そう、か・・・!」



 大和の示した戦術レベルの戦闘方法を、時雨は瞬時に理解する。

つまり、



「お前が最初に斬ったファーストアタックを仕掛ける3人が所定の時間に現れないから、それを異常と見た小隊とコンタクトをとる予定だった別の小隊がセカンドアタックとして来た!そして、おそらくはとてつもなく過密なタイムスケジュールを組んでいるんだな!?だから、こんなにも早く第2波が来やがった!」

「そうだ!この戦術なら、〔万が一通信機を奪われた状況でも異常を感知出来、ただ一方的にこちらの通信を遮断することが出来る!〕そしてもしこの第2波に足止めを喰らえば、それを異常とした第3波、第4波と、雪だるま式に襲撃者が増える!私達は、蜘蛛の巣に引っかかった蝶になる!」



 それを裏付けるように、




 ダタタ!ダタタ!ダタタ!



 軽快な発砲音が時雨の耳朶を打ち、爆風で煙った廊下を死を伴う三点射撃が駆け抜ける。散発的かつ継続的な射撃は、明らかにさらなる小隊を加えて物量で攻め落とすための時間稼ぎだ。このまま倉庫内に立て籠もれば、大和の言うように過密なタイムシフトを組んでいるらしい敵の別小隊が確実に増援として現れるだろう。



「その上、連中は屋上に狙撃手を置いた!つまりやはり、お前を止めて正解だったな!?もし無理に屋外に出れば、見晴らしのいい高所から遠隔攻撃系ではない俺もお前もズドンだ!」



 だが、それはもう1つ、時雨達を見た敵の状況分析の結果を現している。

 だから、



「ついてこい!英雄探偵!」

「露を払え!ヤマト・キャリバー!」



 迷いなく漆黒の指環を外した時雨は、瞬時に向上した身体能力と展開された〔読心能力〕をもって、銃撃の合間に通路の飛び出した大和に続く。


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