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PPG:無駄設定(3):Tiger & …?

作者: 暮灘雪夜




さてさて、まだまだあるぞ無駄設定(笑)


果たして誰が読むのでせうか?(^^;


誰かに読んで貰えたら良いなぁ〜(汗)




さてさて、今回の無駄設定は本来なら【PPG】本編でも"もう一人(一両)の主役"となっても可笑しく無かった…


Pkw-VI:Panzer kampf wagon VI(六号戦車)

【ティーガー】


です(^^;

先ずは、簡単なスペックデータから…




☆☆☆




Pkw-VI

《TIGER》


開発国

プロイセン皇国


武装

主砲:88mm56口径長砲×1

副武装:

M2ブローニング12.7mm機関銃×1(砲塔上)

MG34/7.92mm機関銃×3(砲塔上、主砲同軸、車体前面)

T/Sマイン


装甲

砲塔正面120mm(傾斜60度、鋳造):側面75mm(湾曲、電気溶接):後面/上面40mm

車体正面90mm(傾斜)


エンジン

液冷対向12気筒ディーゼル・エンジン

(ユンカース社製航空機用ディーゼルを元に開発された)


出力

690馬力


空虚重量

53t


最高速

45km/h


航続距離

225km


サスペンション

トーションバー+クリスティー式複合サスペンション

鋼製大型転輪


履帯

ダブルピン・ダブルブロック式725mm


トランスミッション

カセット・コンポーネント式リターダー付油圧式オートマチック(前進4速/後進2速)


新装備

電気油圧式砲塔旋回装置

1軸砲安定装置

ザウコブ防盾付2軸安定化合致式照準機

オート・スレイブ砲発射(撃発)装置

ゲルマニウム・トランジスタ型通信機




備考

プロイセンの誇る1943年時点では世界最強(?)の戦車…だと思われる。


実は開発はかなり前から行われていて、1930年代中期のスペイン内乱直後まで遡る。


この戦争で予想通り急速な陳腐化を露呈させたIII号戦車があり、またプロイセンの戦車開発チームはIV号戦車戦車のコンセプトの正しさを再確認した。


詳しくは2012/10/2の活動報告【PPG:プロイセン戦車開発史】を見てほしいが…


各国の戦車開発スピードが思いの外早く、【こじんまりとした設計が完成され過ぎた】為に戦車としては発展的余裕のないIII号戦車が早晩に急速に陳腐化してゆく事は予想されていた。


特にフランスが開発していた【シャールB1(ルノーB1)】のスペックをアメリカルートで入手した時のプロイセン陸軍の焦りは大変な物で、その焦燥はスペイン内乱で現実となった。


当時、スペイン内乱に【コンドル義勇兵団】として参加していたプロイセン軍人は口々に


「敵が戦車戦術のなんたるかを理解してないから勝てたような物だ。単純な性能勝負なら完敗さ」


と言い合ったという。


そこで、【シャールB1】のスペック後に開発の始まったIV号戦車は、【シャールB1と互角以上に戦車戦が可能】な事を最低条件に、


【将来的に出現すると思われる更なる脅威に対応できる発展的予知や拡張性を持たせること】


を前提に設計が始まったのだ。

車体サイズギリギリの直径の大きなターレット・リングに重量増加に高い耐性を持つクリスティー式サスペンション+525mmの幅広履帯、初歩的ながらパワーパックの概念を導入したエンジン等がそれにあたる。


また、コンセプトは先鋭的でも技術的冒険を避ける堅実な設計を基本とした。

言うなれば発展の余地はあるのだから、新技術は信頼性をました後からでも取り込めるという発想だ。




おかげで30t超級と計画目標値よりかなり重くなってしまったが、設計に余裕が生まれ、IV号戦車は最初の量産型であるA型から砲塔正面60mmの装甲/車体正45mmの重装甲と、当時としては強力な75mm43口径長砲に400馬力の高出力ガソリンエンジンとクリスティー式サスペンションを備えた、1938年に実戦配備された戦車としては火力/防御力/機動力の高度なバランスがとれた【中戦車】として誕生したのだった。


また、上のような設計コンセプトから、従来の戦車とは比較にならない高い整備性(また、エンジンパネルを開くとそのまま整備パネルになるような心配りもあった)を誇り、また機械的な信頼性/量産性も高く、現場からの評判は極めて良好だった。




☆☆☆




しかし、兵器…特に戦車のようにまだ戦術すらも確立されてないような兵器の進歩は、まさに日進月歩だ。

極端に言えば、設計を終えた瞬間に旧式化が始まってる。


そして、IV号戦車の試作車両がテストを始めた直後から、その成果を元に【次世代戦車】の設計が始まったのだ。




実はここにプロイセンのドクトリンが顔を出す。


プロイセンの軍事行動の基本は【国防】、具体的にはクラウセヴィッツ的な【積極的防衛(アクティブ・ディフェンス)】が根本にあった。


それに対する解答が、プロイセン機甲総監ハインツ・グーデリアン大将が提唱し、陸軍総司令官の《エーリヒ・マンシュタイン》も支持し後押しする機甲戦術…世に言う【電撃戦(ブリッツェン・クリーク)】だ。


つまり、押し寄せる敵が国土を踏みにじる前に、侵攻準備に集結してる所へ機動力を生かした電撃戦を仕掛けて強襲。

敵兵力を殲滅し、国土侵攻の戦力を奪うという戦略だ。


実際、III号戦車やIV号戦車は、まさにそのドクトリンに合致するように計画された戦車だった。


だが、【PPG】の無駄設定(1)にそのエピソードが出てきたが…


とある士官学校の学生が提出したレポートにより、グーデリアンは【敵がもし同じような電撃戦を仕掛けてきたら?】という可能性に気がついたのだ。


【国土が敵機甲師団の大規模奇襲を受けたら?】


その最悪のシナリオが実行された時に必要な手筈こそが、そのレポートの真骨頂であった。


機甲師団と航空機を用い、それらを移動しながら縦横無尽の防衛線として用いる【機動防御(モビル・ディフェンス)】…

電撃戦と対になる【パンツァー・シュルト(機甲攻盾)】戦術こそ最良であると結論されていた。




それはグーデリアンの心を動かし、マンシュタインの賛同を得た。


そしてグーデリアンは機動防御に必要な戦車は、また電撃戦のそれと条件が異なる事に気がついた。


火力/防御力/機動力のバランスの取れた電撃戦用の【中戦車】に対し、機動防御に必要とされるのは数に勝る押し寄せる敵をアウトレンジで次々と破壊できる火力と接近してくる敵に易々と貫通されない防御力…つまり堅牢な機動トーチカたりうる【重戦車】だと。


機動防御に最も多いシチュエーションは、


【待ち伏せからの先制砲撃→突進してくる敵を迎撃→後進しながら砲撃】


と想定された故に打ち出されたコンセプトだった。




以上のような結論から、機甲総監直轄のプロイセン陸軍戦車開発部門では、IV号戦車の後継たる中戦車を【V号戦車】、機動防御を担当する重戦車を【VI号戦車】と呼称し、研究開発を開始した。


そう、V号戦車が後の【パンター】であり、VI号戦車こそがこの【ティーガー】だった。




☆☆☆




中戦車は既にIV号戦車があるので、その運用実績を見てからV号戦車のコンセプトを絞ると結論され、逆に開発コンセプトは明確だが開発に時間がかかりそうなVI号戦車が優先された。


車体の基本設計はIV号戦車を発展/拡大させた物で、より大馬力エンジンを搭載できるようパワーパックの概念が導入された巨大なエンジン・ルームを持つ。


また、足回りはクリスティー式だけでは容量不足が指摘されたのでトーションバーが併用された結果、十分なストロークと計算上は空虚重量60t迄の負荷に耐えるとされている。

これには、極めて耐久性の高い鋼製大型転輪が組み合わされる。




また、敵弾が四方から飛んでくる事が予想され、引火しやすいガソリン・エンジンではなく極めて引火しにくいディーゼル・エンジンが最初から選択された。


このエンジンも、その元設計はユンカース社社製の航空機用ディーゼル・エンジン【Jumo205】を起源とする物で、戦車用に再設計する際に特に低重心/低姿勢設計になるように依頼され、ユンカース社の解答はピストン・ストロークを半分に気筒数を倍にすることで解決した。


実はこのエンジン、本来なら試作型でさえ750馬力を発生したのだが、V号戦車にはそこまでのスピードは求められておらず、むしろ耐久性や信頼性、燃費を優先した為にデチューンして690馬力まで落として部品の磨耗を減らし、この時代の戦車用エンジンとしては驚異的な平均1500時間稼働の記録した。




また、トランスミッションも史実と違っていて、史実では同じ方式なれど【前進8速/後進4速。16種類の旋回半径を選べる】という精巧過ぎる物だったが、PPGのティーガーは「どうせ機動防御にしか使わないんだし」という理由で、【前進4速/後進2速。回転半径は6種類から選択可能】という簡潔な物になっている。

これにより当然のように部品数が減り、また部品一つ一つを耐久性や容量の高い大型の物にでき、大幅に信頼性を向上させた。




当初は車体前面は100mm厚の垂直装甲だったが、装甲に傾斜を付ければ多少薄くても同等以上の防弾効果があるとされ、試験的に傾斜装甲が採用されたのだった。




☆☆☆




戦車砲は専用の物が開発される予定だったが、試算すると想像以上に時間がかかりる為、スペイン内乱で現場の咄嗟の判断で対戦車戦に転用され、抜群の効果を発揮した通称【アハト・アハト(ドイツ語で"88")】…88mm56口径長高射砲に改造を施し主砲として転用することが決まる。




また、主砲の縦軸(1軸)の揺れを抑えるガン・スタビライザーを装備し、また合致式照準機をジャイロ・スタビライザーで2軸(縦横軸)安定化し、照準線に主砲が同調した時に発射される【オート・スレイブ撃発装置】を採用する事により、驚異的な有効射程や命中精度を記録している。


実はレニが2km以遠の目標を仕留めたり、走行間射撃で撃破を記録したのはこのシステムの恩恵も無視できない。




地味ではあるが、砲旋回駆動装置にプロイセン戦車発のパワフルな電気油圧式が採用され、比較にならない大型砲塔にも関わらず砲旋回速度はIV号戦車と同等かそれ以上だったらしい。







**********




このような経緯を経て開発中だったVI号戦車だが、その末期…


VI号戦車だけでなくプロイセン戦車全てに影響を与える事件が起きた。

そう、ソ連とフィンランドの間に勃発した"冬戦争"だ。


CETO(欧州十字教条約機構)が義勇兵団として参加したこの戦いにおいて、戦況が全く好転せず、マンネルハイム・ラインから一歩も入れないどころか随所で各個撃破される赤軍の不甲斐なさに怒りを顕にしたスターリンは、先行量産型が完成したばかりの【T-34戦車】と【KV-1重戦車】の投入を決断する。


この時、CETO義勇兵団の中心的役割を果たしていたプロイセン軍が遭遇したのが、まさにそのT-34やKV-1だったのだ。




昨年、本格的に実戦配備されたばかりのIV号戦車に比べ速度で上回るT-34と防御力で圧倒するKV-1との遭遇に、まるで怪物に出くわしたような衝撃をプロイセン陸軍は受けた。

いわゆる【T-34/KVショック】である。




☆☆☆




結局、冬戦争はソ連が一度たりともマンネルハイム・ラインを破れずに撤退、防衛成功によりフィンランド/CETO側の勝利で幕を閉じた。


ソ連は国連から追放された挙げ句に史実の倍に匹敵する被害を出し、フィンランドは領土を1mたりとも失わなかった…しかし、このショックはプロイセンにも様々な影響を与えた。


IV号戦車の本格的な強化や、冬戦争の戦闘データやT-34ならびにKV-1の残骸等を元にV号戦車開発がスタートし、また後にパンツァー・ファウストやパンツァー・シュレークとなる個人携行型の対戦車兵器の開発も開始される。


それはVI号戦車も無縁でなく、一番の変更は主砲周辺が垂直装甲だった砲塔正面が60度の角度を持つ傾斜装甲に変更され、上方に弾かれた砲弾で照準機が傷つかぬようザウコブ型防盾が装着された。


また、人海戦術を好む赤軍に対抗する為に【バリケードごと敵兵を薙ぎ倒せる】M2ブローニング機関銃の増設が決まりアメリカから大量輸入され、T/Sマインも採用が決定する。


更に転輪を守るようにスカート・アーマーも増設された。


こうしてVI号戦車【ティーガー】は完成したのだった。





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