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プロローグ(0)
たった一度
ただ一度だけ、私は生きることを放棄した
生きる意志を失い、生きる意味を見出せず
無情な世界で、何も感じず、何もせず、時が流れ去るのを待った
彼女を失った私には、それしかなかったから
そう、思い込んでいたから
その私がこうして生き、この書を書き記しているのは、一つの約束のため
彼女が願った。彼女が私に託したかけがえのない想い
あの時の約束が、今の私の生きる目的
生きようと思う
どんなに辛くとも、どんなに無情な世界でも
いつか再び巡り会えた時、彼女に怒られないように
今度こそ、互いに笑いあって生きていけるように
魔導士リーファ・エルリスト著
【魔道研究 巻十三 召喚士一族Ⅰ】
序文より抜粋