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銀の騎士と黎明の星  作者: 月乃杜
第一章:聖霊剣
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第4話:対魔物戦闘

.

〔あれ?〕


〔どした?〕


〔いや、ケイン君の剣って今まで見た事が無いなと思ってさ〕


〔一点物とかじゃね?〕


 リスナーが言っているのは矢張りというべきかケインの剣、聖霊剣クリスタリオンはデザインからして別物にしか見えないから、彼らリスナーが不思議に思っても仕方が無いのかも知れない。


「はぁっ!」


 コボルトの首が刎ねられる。


「犬頭くらいなら楽勝だね」


 コトリと落ちる魔核。


 それを拾いながら美衣奈は呟くとすぐにバッグへと仕舞う。


「あ、今度はホーンラビット」


「ファンタジーなラノベだと、この手の魔物って美味しいんだけどな」


 ホーンラビットとは角が額に生えた兎の事で、本体は兎さんだから煮込んで食べれば美味しい。


 飽く迄もファンタジー的な意味ではだったが、此方では死んだ魔物はダンジョンに消えるのみ。


「あ、角兎は肉をドロップするよ」


「へ?」


 卦韻は吃驚仰天だ。


「まぁ、今回は魔核だけでドロップしなかったみたいだけどね」


 魔核を美衣奈が拾う。


 この辺の魔物の魔核は二〇〇円~六〇〇円程度の価格にしか成らない、それでも闘って斃していって魔核を手に入れればそこそこ稼げる。


 だけど、武器や防具の買い替えやメンテナンスにお金が掛かってくるし、傷付けばポーションを消費していくからお金が掛かるもの。


 武器や防具は一番安い物でも万単位でお金が掛かる訳で、ポーションですら一個で三〇〇〇円も掛かるのだから全く安くは済まない。


 プチポーションなら五〇〇円しか掛からない、然しながらこれの効力は大した事は無いのだ。


 ポーションのHP回復率が二〇%と仮定したら、プチポーションでの回復率は僅か数%程度でしかない。


 確かに六個も使えばポーション並に回復する、だけど戦闘中だったらそんな物を六個も使う暇は無くて、一個で済むのならばそうしたい。


 再び現れたのはまたもゴブリン、ペタペタと足音を響かせて奥から歩いてきた連中は、最初のとは違って棍棒を手に持っているみたいだ。


「棍棒を持ってる、最初のは素手だったのに?」


「そりゃ、魔物によっては武器を持っているよ」


 パタパタと変な足取りで走って来たが、足取りからして素人なゴブリンは武器の扱いも成ってはおらず、ブンブンと棍棒を振り回している。


「おりゃっ!」


 卦韻は横薙ぎ一閃、棍棒を半分くらいから斬り落としてやった。


氷撃(イースアングリフ)!」


 複数の小さな氷の矢がゴブリンの身体を貫く。


「アギャァァアアッ?」


 落ちたのは魔核のみ、武器を持っていた分は大きい? 物だ


「これはドロップに成るのかね?」


「武器類は残る事が多いんだけど、どっち道使い物にもならないかな。売っても大した額でも無いしね」


 地面へと落ちていた棍棒の半分を拾った卦韻に美衣奈が答えるが、その内容は余りに良いものでは無くて棍棒は確かに大した事は無い。


〔棍棒じゃ~な~〕


〔斧や剣もボロボロだって聴くぜ? 実際にギルドで売られたドロップの武器類ってやつはさ〕


〔全く使えない武器だから安く買い叩かれるって話だし、実際に棍棒は知らんけど金属武器なんて不純物だらけの鉄製らしいぞww〕


〔ゴブリン辺りは銅だってよww〕


〔マジ? ウケる~wwww〕


 存外と有益な情報も出るからか、リスナーというのは有り難い存在。


 スマホを見ないと確認も出来ないのが欠点で、それを補う為のツールも愛坂家では売っている。


 所謂、“|Augmented Reality《拡張現実》”技術で通称は頭文字からARと呼ばれてるモノ、然しながら割と最近では寧ろ“|Mixed Reality《複合現実》”――MRだろう。


 |Virtual Reality《仮想現実》も有るには有るが、漫画みたいな完全なVRでは無く、ヘッドセットを顔に着けて自分視点なだけの代物だ。


 卦韻は使ってないが、スマホ連動型で美衣奈が使っているから、彼女はリスナーからのコメントに素早く応えたりも出来ている。


 愛坂家のお嬢様だからこそか。


 卦韻の楠葉家も実はそれなりに稼いでいるが、父親は単なる冒険家みたいなものだと思っていたからか、そんな自覚が更々無かったりする。


「矢っ張り、ミスティが持っているMRのシステムが有った方が便利なもんなのかな?」


〔それはそう〕


〔あれなら、可成りコメにも対応し易いからね〕


 昔は面倒で邪魔くさいシステムに過ぎなかったみたいだが、現在では魔法技術が採り入れられて装着も簡易に済むし、必要なコメントを見付けて保存したりなど可成り使い易い物に成っていた。


「自分のステータスを可視化が出来れば尚の事、使い易いシステムに生まれ変わるんだけどね?」


 美衣奈は苦笑いを浮かべながら言ってくる。


 ゲームみたいなプレイヤーが任意にステータスを視れない、ラノベなんかの転生者や転移者の様に『ステータス!』と叫んでも開かない。


 其処ら辺が課題らしいかった。


「脈動の数でレベルの概算は出来るんだけどね、ステータスを視る事なんて出来ないから、スキルが生えたとしても把握がし辛いんだよ」


「スキルか……」


「ケインにも有る筈だよ」


「俺に?」


「私のスキルは“魔導妃”だよ」


 美衣奈のスキル“魔導妃”は女性専用のスキル、しかもこれはユニークスキルの一種なのだが……


「どうやってそんなスキルを把握したんだよ?」


 名前まで把握している不思議。


〔スキルって何と無くこうかな? みたいな処があるんだよな〕


〔ラノベみたいな、ステータスとかが実際に在ったらな~〕


 ステータスを開く術は無いというのが一般的、卦韻とて流石にその程度の知識は持っていた。


「また魔物か!」


 茶色の毛皮を持つ狼が二頭も走ってきたけど、その体躯は通常の狼よりは二回りも巨体である。


「角狼だね」


 額にホーンラビットみたいな角、即ちホーンウルフと呼ばれている。


 巨体に似合わぬ速度ではあるが、真っ直ぐ突っ込んで顎を開いているホーンウルフは隙だらけ。


「はっ!」


風牙(ヴィントタン)ッ!」


 先んじていた一頭は、卦韻が横一文字に口から真っ直ぐに体躯まで斬り裂き、美衣奈は風を二本の牙の如く噛み付くに等しい傷を与える。


「ふぅ……」


「中々にハードだね」


 斃れたホーンウルフは魔素に還って消え去り、後に残されていたのは魔核と毛皮と牙のみだ。


「これ、ドロップか?」


「うん、卦韻が斃した方が毛皮。私のは牙だよ」


 遂にドロップアイテムが。


〔おめでと~!〕


〔初ダンジョンで初ドロップとか、本当にめでたい話だよな~〕


〔実際、ドロップは出ない事もあるらしい〕


 リスナー達も、祝いのコメントをくれている。


「うんうん、ドロップアイテムだけはリアルラック次第になるからね」


 頷く美衣奈。


「さて、そろそろ良い時間になるから帰ろっか」


「そうだな」


 時間は夕方、換金の手間も有るから戻らねば。


「換金はギルドで?」


「私達はギルドカードが無いから、私達は愛坂学園のギルド出張所に提出だよ。学生証はもう貰っている筈だよね? それで換金が出来るよ」


 愛坂学園は初めから冒険者ギルド有りきで開校された為、初の冒険科が設立されていたし、学生が手軽に換金をする為の換金所も有るのだ。


「春休みなのに居るのか?」


「誰かしら、最低限で二人は春休みや夏休みとか関係無く持ち回りで常駐をしている筈だからね。因みに常駐した分はお給料も良いんだよ」


「成程……」


「という訳で、【Crystal Chronicle Ch】 第一回の配信はこれまでで~っす! まったね~♪」


〔乙~〕


〔お疲れ様~〕


〔次回も待ってる〕


 配信用ドローンのカメラ前で満面の笑顔を浮かべた美衣奈は、手を小さく振りながら配信終了の挨拶をしてドローンのスイッチを切った。


 リスナーからの反応も悪くは無さそうで何よりであろう。


 ダンジョンの出入口から出た卦韻と美衣奈は、終わったと思った瞬間に疲労感を感じてしまう。


「レベルは上がらなかったな」


「仕方が無いよ、入った時点でレベル3に成ってたんだしね」


 こう見えて、レベルは最初の段階で上がっていたのだから。



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