桃はどこだ?
「こちらC。配置につきました。」
「了解。任務を遂行せよ。」
俺は今、桃太郎の両親の家にいる。何故かって?理由は簡単だ。物語通りに桃太郎を拾ってもらうためだ。おや?家で何か変化があったようだ。
「こちらF。ただいま入った情報によると、おじいさんが川へ洗濯へ行くようです。」
「こちらC。どうしてそうなった?普通芝刈りは男が行くでしょ。」
「何やらおじいさん、膝が少し痛いようで…」
「いや、少しならいけよ!」
はぁ、おじいさんに対する好感度が下がっていく中、これも仕事だと割り切り、気持ちを切り替える。
「わかった。Cが対応する。」
「あぁ。頼んだ。」
対応するとは言ったものの、なにも良い策が思いつかない。仕方ない。強引に行こうか!
「あ、いたいた。」
俺はそんなこんなで、おじいさんを尾行している。
(にしても、あのじいさん、歩くの早いな…)
俺は少しずつ小走りになっていた。
(この辺でいいかな。)
スゥっと息を吸い、おじいさんめがけて声を放った。
《女性を危ない場所へ行かせるな!》
「!!」
少々強引だが、仕方ない。おじいさんはおばあさんの元に向かって行った。これで元のストーリーだろう。
「ふぅ、これで任務完りょ…」
「こちらB。緊急連絡、緊急連絡。桃太郎が入るサイズの桃がありません!」
「んだと!」
「どうするんだよ、桃ないと、始まんないじゃん…」
B、C、Fの順に言葉を口にする。
「俺は向かったほうがいいか?」
「うぅ、どうしよう…」
焦りが現れ出した俺たちに、ある少年が入ってきた。
「落ち着け!まだ、おばあさんが来るまで時間がある。私が言ってどうにかする。現場はC、お前に任せた。」
「その声…Aか!久しいな。あぁ。こっちは任せろ!」
「頼もしい限りだ…」
AのつぶやきはCには届かなかった。
「よし、あっちはAがいるから大丈夫だろう。こっちも順調……?」
僕の目には、火花が出そうなぐらいで洗濯しているおばあさんが映った。
(いや、早すぎるでしょ、白い服が大根おろしに見えてきた。)
やばい…このペースだと、あと数秒で洗濯が終わる…
繋ぎ人二話、楽しんでいただけたでしょうか。次回もお楽しみに!