働け!骨の髄まで
ギャグ主体後々感動を目指して!
ぐぅぅぅぅぬぬぬん…
可哀想に…一生懸命に主張するお腹よ。もう少し我慢してくれ。あと3時間耐えれば、何かは入れてやる。
やっと…やっと見つけた日雇いの仕事。ミスする訳にはいかない。あわよくば明日も雇ってもらえるように。そして、まずはお腹いっぱい食べられるように。
それにしても…地味すぎる。海岸から集められた大量の石を分ける仕事とは…
僕の感性で「とてもいい石」「普通の石」「そんなにの石」に分けるお仕事。働いている人全員の状況がよく見える、衝立もない広くもない部屋だから、ついつい見てしまう。右隣のギャルは殆ど「そんなにの石」に入れてるし、左隣のおっさんは舐め回す様にじっくり見たあと「とてもいい石」に分ける際に「いってらっしゃい♡」などと言っている。…怖すぎだろ…
明日も働いてくれって言われたらどうしよう…
ついさっき思っていた事が、もう揺らいでしまっている。
だけど、今の僕は選り好み出来る状態じゃないんだよな。だって、全財産が奇跡0円。最後の買い物でぴったり使い切ってしまった。まさかこんな事になるなんて…予定では1日で終わるはずだったのに。
何があるかわからない世の中だ。早く…できるだけ早く終わらせなければ。
「ねぇ君」
「うわぁぁぁぁぁ」
思考中突然の肩ポンはめちゃくちゃびびる。お風呂上がりのさっぱり無防備な状態でGが現れた時くらいやばい叫び声が出てしまった。立ち上がって「すみませんでした」と詫びて今までより小さくなって座り直す。
叩かれた方を見ると…1番話したくない、いってらっしゃい♡おじさんだった。
「…何でしょうか?」
「ごめんね、びっくりさせちゃって」
「いえ…こちらこそ」と返して改めておじさんを見る。小太りでてっぺんが少し寂しいTheおじさんという感じのおじさん。…なんか目だけやたらキラキラしてるな…
「…それで、何でしょうか?」と尋ねるとこれまたテンプレの、手をポンッと叩いて「ああ、そうだった」なんていう始末。これからの事を想像して苦笑いになってしまう。こんな空間、やばいおじさん…言われる事なんて決まってる。
「もっと割りのいい仕事があるんだけど、どう?」
「お断りします」
予想通りすぎる言葉のお陰で0.1秒以内に返せた。それから近い!周りに聞かれたくないからか、内緒話をする様に話しかけてきたから近い。そして中々離れてくれない。「え〜そんな事言わずにさぁ話し聞いてよぉ」などと、間延びのした話し方をされても僕は落ちないから!僕には愛する人がいるから!
「結構です。間に合ってます」
そう返すとおじさんのおちゃらけた表情が真剣なものへと変わった。
そして
「間に合ってないでしょ」
と、何もかも見透かした様な瞳で言った。
ぐっ…と言葉に詰まる。確かにそうだ。こんな意味のわからない日雇いの仕事をしているんだ。間に合ってる訳がない。次の言葉が出ない僕に、ニコッと笑い「続きは終わってから話すね♡」と仕事に戻ってしまった。…語尾にハートはやめてくれ…
もう僕には仕事が終わり次第ダッシュで逃げるか、諦めておじさんの話しを聞くか、その2択しか残されてない事に絶望しながら、残りの3時間を過ごすしかなかった。
ご覧下さりありがとうございました。良ければ最後までお付き合い下さい!




