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覚書/滅亡文明・ケルト

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

「ケルト文明」

~同文明(前12‐前1世紀)を築いたケルト人は、欧州一帯に居住した騎馬民族である。ローマの台頭により、イングランド島周辺の一部地域を残して駆逐された。図は、欧州大陸にあった、ラテーヌ文化期(前450年-前1世紀)の防御集落と装飾品だ。


 ケルト人は、青銅器時代に中央アジアの草原からやってきた人々であるという。インド・ヨーロッパ語族だ。馬に牽かせた戦車に乗っていて、中部ヨーロッパに定住する。その後、彼らはブリテン島に渡り、アイルランドにも生活圏を広めてゆく。統一したケルト王権があったというわけではなく、地域ごとに氏族集団を形成していた。

 ハルシュタット文化は、アルプス山脈づたいに、ルーマニアからフランスに至るヨーロッパ内陸部に広がった文化である。紀元前十二世紀から紀元前五世紀ごろまでの文化である。前半が青銅器文化で、後半が鉄器文化だ。支配階層は墳墓を持ち、戦車を埋葬していた。

 ラ・テーヌ文化は、ハルシュタット文化を継承した鉄器文化で、ヨーロッパのほぼ全域に広まっている。紀元前6世紀から紀元前1世紀ごろまでの文化である。エトルリア・ギリシャ・スキタイといった諸文明の影響を受けている。紀元前3世紀が最盛期のようで、バルカン半島から小アジアまで勢力圏を拡大した。

 島のケルトと呼ばれる、ブリテン島の集団が、いつそこに渡ったかは判らないのだが、最盛期であるこの時期なのかもしれない。

 紀元前1世紀になると、ゲルマン人に圧迫されて、西フランスからスペインに至る地域に移動する。そして共和政ローマの英雄カエサルによって征服される。そのあたりは、この人が元老院に提出したレポート『ガリア戦記』に詳しい。ガリア地域の住民はケルト人が多かったようだ。

 征服地のケルト人は、ラテン語を話してローマ化し、中世のフランク族の支配を経てフランス人になってゆく。大陸のケルトと呼ばれる欧州大陸にいた人々は、各地域の王権に服属し、被征服者たちと融合して行く。

 カエサルが、ガリア地域の延長で征服したのがブリテン島である。ローマ人たちは、原住民であるケルト人たちを押さえて植民都市を築いた。紀元前5世紀になると、ガリアにゲルマン人が攻めてきた。ローマ帝国は、補給路が途絶えてしまうため、やむなくブリテン島の経営を断念し、大陸に引き上げる。そこに割り込んできたのが、ゲルマン系のアングロ族やサクソン族である。

 ただ、ブリテン諸島でも、縁辺部のスコットランド・アイルランド・ウエールズ・コンウォールといった地域には、ケルト系文化が温存される。コンウォールのケルト人の一派は、アングロ・サクソン人に圧迫されて、フランスのブリターニュ半島に移り住んだ。

 土着宗教にドルイド教というのがある。神官であるドルイドたちは、最初、ギリシャ文字を使っていたが、やがて独自のオガム文字を発明し使用する。4世紀から7世紀のことである。やがて、キリスト教が浸透してゆくと、ラテン文字に代わり消滅する。

 学術的な定義において、文化は人間が起こすアクション、文明は都市・文字・金属を駆使した国家的なメカニズムのことをさしている。

 ケルト人の諸文化は、中世になるまで、ケルト人独自の文字、都市といったものはあまりしられていない。慣用的に文明としてはいるが、ケルト人諸氏族の文化を包括的に称したものといえる。

 図は、ラテーヌ文化期(前450年-前1世紀)の防御集落と装飾品だ。スイスのヌーシャテル湖北岸の村ラテーヌが、1857年、干ばつで水位が低下したとき、発見され調査が行われた。青銅製容器・装飾品・武器・防具・馬具に、精緻な渦巻・組紐模様を施している。貴人は金属器類などの副葬品とともに墳墓に埋葬された。青銅‐鉄器文化。農耕牧畜および狩猟採集経済。来世観念を持っていたとされる。日本の弥生時代・部落国家と似ている。

    了

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ノート20120701/校正20160508・20181017

挿絵(By みてみん)

「ダンケルクのシナモン」

御案内役 大英博物館学芸員シナモン

(29歳時 兵役中、任地フランス・ダンケルク市にて)


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