覚書/滅亡文明 ・ミケーネ
ギリシャの南端に、柏の葉の形をした半島があり、エーゲ海に面している。ミュケナイ半島だ。現在でこそ、最貧困地帯とされている場所だが、かつては、ギリシャの中原であった。
ミケーネ(ミュケナイ)文明は戦闘国家を思わせる青銅器文明である。巨石を積んだ堅牢な城壁に囲まれた都市に暮らし、独自の線文字を持っていた。牧畜・農耕が盛んで、租税を管理する官僚機構が存在した。ギリシャ系民族により構成されていた。『獅子の門』や『アガメムノン』の黄金仮面が有名だ。
地中海交易、ことに、クレタ文明(ミノア文明)と交易して栄える。やがては、エーゲ海の覇権を握っていたクレタを滅ぼし取って代わる。ギリシャ神話では、『木馬』作戦で有名な、トロイア戦争で、この文明まで滅ぼしてしまったというが、学問的な証明はなされていない。
ミケーネ文明は、紀元前1450年頃に成立し1150年頃に滅びた。この精強な軍事国家を滅ぼしたのは、歴史上『海の民』と呼ばれる正体不明の海賊集団だった。
『海の民』は、いくつかの文明に大打撃を与えた地中海沿岸にいた複数の民族の総称とされている。
一大軍事国家ミケーネをも滅ぼし、エジプト文明さえ脅かした、わけの判らない『海の民』の存在は不気味であり、邪教の存在すら感じさせる。カルトな物語の要素があり興味が尽きない。
1876年にシュリーマンが彼の地の墳墓を発掘して、『アガメムノンの黄金仮面』を発見する。彼がそう主張するのだが学問的な根拠はない。
了
ノート20120630/校正20160508