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覚書/滅亡文明 ・シュメール

挿絵(By みてみん)

 ~7500年前、人類最初の都市文明シュメールが、現在のイラク南部で産声をあげる。日本は、新石器時代に相当する縄文時代だ。図は、シュメールの塔状の祭場、ジグラットである。




 オアシスというと、ふつうは砂漠のど真ん中に忽然と現れる深く澄んだ池を思い浮かべるだろう。実際のところのオアシスの大半は、河川オアシスだ。密林であった地域の乾燥化が進み、河に寄ったところに人々は集落をつくるようになる。

 中東であるイラク南部からクェートにまたがった地域には、チグリス河とユーフラテス河という大河に挟まれた河川オアシスが存在する。人類最初の都市文明はそこで産声をあげる。7500年前のことだから、日本は縄文時代前期のことだ。5500年前になると、楔形文字が発明される。

 人口が増えだすと、砂漠地帯に用水路をうがって農地に水を引くようになり、豊かになる。周辺諸部族が物資を持ち込んで交易がはじまり、ますます、豊かになる。城壁に囲まれた都市の門外ではバザールが開かれた。城壁ができるのは、豊かな各王国を狙って、砂漠の彼方から押し寄せる蛮族から身を守るためだ。

 代表的な都市は、ウルク、ウル、ウンマ、エリドゥ、キシュ、シッパル、シュルッパク、ニップル、マリ、ラガシュ、ラルサといった名が挙げられ、各都市に王が現れる。

 ジグラットという塔を中心とした神殿が建てられ、町屋が周辺に配置される。学校も建てられ市民の子弟たちに数学が教えられ、卒業生たちは、商人になって、遠くアフガニスタンまで旅をした。

 ウルク第1王朝の国王をモデルに描いた『ギルガメッシュ叙事詩』は、人類最古の小説ともいわれている。ウルクの町は紀元前3500年前から3100年が期間が全盛期で、市域の規模において他の諸都市を圧倒する。

 時代が下ると国家群は統合されてゆく。シュメールに触発されてセム語族系民族の一派が、北方でアッカド王国を建国。起元前2300年ごろにウルク王国を滅ぼす。ウルク王国は、紀元前2100年あたりに、再興して独立国家となり150年間続く第3王朝が成立する。しかしそれが最後のシュメール系国家となった。紀元前2000年ごろ、またもセム語族系である北の新興国バビロニアによって、シュメール系国家は滅ぼされる。

 バビロニアの王都バビロンは、現在のイラク首都バグダットの郊外にあった。楔形文字が使われたシュメール、アッカド、バビロニアの各時代と文明をまとめて、メソポタミア文明という。バビロニアはイラン系のペルシャ帝国にのみこまれ、シュメール人が発明した楔形文字も使われなくなる。

 シュメール人は、文化的なアイデンティティーをすべて失い完全に消滅した。優れた文明国であっても、戦いに敗けた国は亡び、民族そのものが消されてしまう。

     了


ノート20120629/校正20160508

挿絵(By みてみん)

御案内役 大英博物館学芸員シナモン


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