紀行/成田市かねまつ食堂
昔いた職場近くに成田市場があり、昼時になると、敷地内の食堂「かねまつ」に、先輩に連れてきてもらったものでした。
初夏の朝は晴れ。ふと懐かしく思い、ふらり、朝食に出かけてみました。昔は祭りのように朝からごったがえしていた市場も、近郊に〝一夜城〟のごとくできあがったショッピングモールに押されて、客足は遠のき、閑散としていました。行列のできた〝かねまつ〟も今は静かになったもの。
ふと壁にめをやると、毎月22日、20食限定〝わくわく御前〟という貼り紙があり、興味深く思い、注文してみることにしました。――なんという気前のよさでしょう。これで1100円とは……。
帆立貝バター焼き、ば味噌煮、アジ・エビ・マグロの刺身盛り合わせ、カボチャの和風スイーツ。
やたらと気前がいい盛り付けで、(採算がとれるのだろうか)と気になった私は女将に訊いてみたところ、「ささやかですが儲けもありますよ。ご覧のとおりの閑古鳥ですからね。客寄せですよ」とのこと。
私が箸をつけだしたとき、急に、家族連れが多数入ってきて満席状態。こちらの膳をみるなり、同じものを一斉に注文。女将は嬉しそうに厨房と、客室との間を往来しだしたのでした。
つい夜更かししてしまった。もう1時半だ。――市場での朝げに間に合うかな。寝坊しなければいいけれど。
了
ノート2009/校正20160507