紀行/ウニとニャア
ブログがヒットして書籍化した『ウニの秘密基地』というのがある。飼っている猫の写真にちょっとした記事を付けただけのものだ。
私は、霞ヶ浦に面したとある町で仕事をし、縄文時代早期七千年くらい前の貝塚の出土品を分類する業務である。パートさんが、隣の席で魚介類や鳥獣の骨を仕分けしている。――貝塚の出土品を観ると、このころの日本列島は暖かくて、亜熱帯のような密林だった。現在でこそ淡水化している霞ヶ浦は、当時、浅い内海で、海水性の魚介類が水揚げされていたのだ。
チョウセンハマグリと、カキ類がやたらと目につく。チョウセンハマグリははるか後の平安時代、碁石や貝合わせの原材料になっている。カキは、マガキとイタボウガキととが存在する。マガキは養殖に向いている。イタボウガキはそうではないらしい。
千葉県加曾利貝塚は、縄文中期、五千年くらい前の貝塚遺跡として著名で、そこのカキは養殖されていたのではないか、という説がある。今回携わった早期、七千年前の遺跡も、もしかするとそうではないかという前振りがあった。
分類していると残念ながら、イタボウガキが大半を占めている。大量にはあるのだけれども、残念ながら、この段階では、養殖系ではなく、漁によって得られたものとしか考えられない。
「ウニウニ、そっだったかニャア」私はそうつぶやいた。
すると、周囲にいた人たちが、急に集まってきたではないか。
「何っ、ウニの動物遺体がみつかったって!」
ブログを巡回していると、語尾に、「○○だニャア」、返事のところで、「ウニウニ……」とか書いてある記事をみかけることがある。昨今は、すっかり感染してしまった私であった。
了
.
(ノート20111120/校正20160508)
.
記事と同じころのつぶやき
.
水上走行車?
写真の場所は、福島県いわき市で、自宅から数キロ離れたところにある夏井川支流新川の上流にあります。50年以上昔(下手したら100年前)からある炭鉱関係の機械を洗う施設で、川底にコンクリートが敷いてあり、炭鉱がなくなった現在は下に示す写真の通りで、地元の人の洗車場になっております。一種の産業遺跡というところでしょうか。遠くにみえる木橋がノスタルジックでしょ? 仕事帰りに車を洗いました。
.
先日更新しました自作小説「火車(旧称『ぼろの帳面』)」は1999年に執筆したのに少し手を入れたもの。読んだ知人がコメントを書いて下さったので読んでみますと、『デスノート』みたいだというご意見。私はTVと漫画が苦手であまりみませんので、「どういう作品ですか?」と問い返しました。
知人というのはネット別サイトで、記載した作品を互いに読みあう自作小説の若い女性の書き手で、演劇や漫画に詳しい人です。名前だけは知っている、『デスノート』。概要を訊くと、「悪魔に名前を書かれると死に至る『デスノート』を生身の人間である主人公の青年が拾う」のだとのこと。
「10年ひと昔」とよくいうのだけれども、作品を寝かせるのも大概にしないとオマージュにされてしまいます。いやはや。
「シルフィ―」 ボールペン 2005年ごろ